【苔玉に寄せて】Vol.80~初秋に思う「苔玉・・・!」
初秋に思う「苔玉・・・!」
残された生命力の限りを絞ったツクツクホウシの声が、遠くから聞こえてきます。秋の訪れとともに、園芸したい人々の心が高揚してまいります。
8月中頃から注文し待ちかねていたヤマゴケが送付されてきました。やっと来ました、さあ、いよいよ秋の苔玉作りの再開です。苔玉作り閑期であった暑い盛りに、あれこれ思い描き構想しておいた苔玉創作の開始です。
まずは何から手を付けたらいいものやら・・・?はたと、手が止まってしまいます。株分け・挿し木しておいたオリヅルランの小株を吊り苔玉に仕立てることで、秋の苔玉作り事始めとなりました。小さなポットにギュウギュウ詰めに植えられていた状態からから吊り苔玉へと変容して、いきいきと新芽ランナーを空中空間に伸ばすオリヅルラン、「水を得た魚」の如くに大気空間に泳ぎ出しました。オリヅルラン以上に、苔玉製作者の私が充実感いっぱいで嬉しくなってしまいました。三つ、四つとあれこれ苔玉を作るうちに、年齢の故でしょうか、あーくたびれた・・・!
初秋の苔玉事始めからこの調子ではこの先が思いやられてしまいます。でも、何とかかんとか秋の苔玉園芸事始めに漕ぎつけられたこと、よかった・・・!
季節の変わり目ごとに、新たなる園芸にチャレンジしたいと思うこと毎度のことです。そうこう思う時間の経過とともに、多忙の故だと責任転嫁、時期を失してしまう、まことに身勝手なこと反省しきりです。でも、まずは新たなる秋の苔玉事始めを迎えられたことに感謝・・・!です。
初秋の思い、晩秋の紅葉、年末年始のシクラメンや松竹梅の苔玉、桃の節句、等々思い描きつつ、新たな苔玉園芸を夢見ている此の頃です。
執筆者紹介 – S.Miyauchiさん
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。