【コラム】つくばで食べる・つくる・育てる Vol.65『北信食べ歩きツアーに行ってきました‐後編』

つくばで食べる・つくる・育てる
6月のテーマ「北信食べ歩きツアーに行ってきました‐後編」

 今回、ホテルは長野インターそばにある「メルキュール長野松代リゾート&スパ」を1泊朝食付きで前日に予約入れて行ったのですが、大当たりでした。駐車場は無料だし、お部屋からは北アルプスが一望でき、隣には大好きツルヤもありました。

温泉も広くてきれい。なにより、朝食がおいしすぎて食べ過ぎました…
小布施であれこれ食べる予定だったのに、夫婦であれほど「食べ過ぎ厳禁」を合言葉にしていたのに、地元の郷土料理とかスイーツがたくさんあって結局手に取ってしまいました。ここはまた訪れたいホテルです。

このホテルから下道で40分ほど車を走らせると、栗で有名な小布施に着きます。

江戸時代から続く歴史的な街並みが魅力的で、古い蔵や家屋が立ち並びまるでタイムスリップしたかのような気分になります。

栗菓子のお店だけではなく、カフェやショコラティエなどもあり「絶対に食べ歩きしたら楽しいよね!」とおやつの時間に行ってみたいところを探しながら、最初の目的地「北斎館」を目指します。

名前の通り、江戸時代の有名な浮世絵画家である葛飾北斎の作品が展示されている美術館になります。北斎と言えば江戸(東京)のイメージだったのですが、晩年は小布施の豪商である高井鴻山との縁で、何度かこの地を訪れてはしばらく滞在して作品を制作していたようです。
正直、浮世絵にあまり興味はないのですが、せっかくなので寄ってみることにしました。

この時の企画展は「略画 ―はずむ筆、おどる線―」。北斎の絵手本にある単純な絵や、現代にもあるあいうえお絵本みたいなものがあったり、見ていてすごく楽しい気分になる展示でした。
北斎が小布施に来る頃には浮世絵ではなく肉筆画に力を入れていたそうで、上町祭屋台天井絵「男浪図」「女浪図」を手がけ、この美術館に収蔵されています。しかし、この日は鎌倉市の美術館に貸し出し中とのことで複製画だけ見てきました。極彩色豊かで、北斎のイメージがかなり変わったと思いました。美術館が好きであちこち行きますが、ここ最近では一番かもしれないです。

 ショップで図録を買った後は、栗のお菓子で有名な「竹風堂 小布施本店」でランチタイムです。お目当ては絶品栗おこわが食べられる「山家定食」。竹籠に入った蒸したての栗おこわに、ニジマスの甘露煮やリンゴジュース、むかごの小鉢や山菜煮物が付いてきます。栗がほんのり甘くて、もち米の塩味とモチモチがとっても良く合います。栗がごろんごろん入っていておいしすぎる!魚の甘露煮は住んでいる土地柄もあって食べる機会も多いのですが、ニジマスはお初です。柔らかく炊かれていて、頭からいけちゃいます。甘すぎず、しょっぱすぎず、絶妙な塩梅でした。煮物もむかごも山菜好きにはたまらないラインナップで、お腹も心も幸せでぱんぱんです。

あまりにおいしすぎたので、お土産に栗おこわを買って帰ることにしました。配送品は冷凍らしいのですが、お持ち帰りは蒸したてを包んでくれるとのことだったので帰りに寄ることに。

 腹ごなしに栗の小径を通って駐車場に向かい、そこから午後の目的地「曹洞宗 岩松院」へ。
俳人の小林一茶や戦国武将・福島正則ゆかりの古寺だそうです。このお寺は当初のスケジュールには入っていなかったのですが、北斎館近くのお土産屋さんのお姉様方に強くお勧めされてやってきました。なんでも「小布施に来たなら、岩松院の北斎の天井画は絶対に見て行って!あと、解説もちゃんと聞いてくるんだよ!」なんだそうです。

そこまで言われたら見に行かないわけにもいきません。

 お寺さんに着くと、まずはご本尊にお参りし、北斎が使った顔料の資料を見学したり、一茶の中でも特に有名な「やせ蛙まけるな一茶これにあり」という句を詠んだ蛙合戦の池を眺めていると、お寺の方が天井画の説明をしてくれるので本堂へ一同向かいます。

 本堂天井に描かれているのは葛飾北斎最晩年の大作「八方睨み鳳凰図」。21畳分の天井から鳳凰が一面に翼を広げてこちらを見下ろしています。どこから見てもこちらを睨んでいるように見えるため八方睨みと名付けられたそうですが、ある地点から動くと羽の色が変わったり、北斎の好きだったモチーフの富士山が隠してあったりといろいろ面白い仕掛けがしてあるそうです。
何より驚いたのが、一度も修復することなく色褪せず今ここに存在していることです。1848年に完成したので、かれこれ177年経っていますね。それだけで尊いです。確かにガイドがなければただ「すごーい」って言って終わってしまったかもしれません。
お姉様方には感謝しないと。

北斎三昧で小布施観光は〆て帰路に。食べ歩きはどうした?って思うかもしれませんが、おこわを食べ過ぎて別腹もどこかへ行ってしまったようなので、またの機会にすることにしました。

ただ、やっぱり栗のお菓子はお土産に買って帰ろうということで、小布施スマートIC近くにある「松仙堂」へ。地元の人は栗菓子をここに買いに来るらしいという情報をキャッチしたのですが、農道を通って看板を頼りに行くと民家の敷地内にお店がありました。知らなければ入るのにためらってしまうかもしれないです。こちらのお菓子は自家栽培の栗を使っているそうで、100%小布施栗なんだそう。自宅用に季節限定の水栗ようかんを買ってみましたが、水っぽくなくかつ重くない栗の風味が効いた暑い時期にぴったりなお菓子でした。

今回は初の北信ということで、かなり王道ルートで観光しましたが、まだまだ行ってみたいところがあるので季節が良い時に何度か訪れてみたいなと思いました。今の時期はちょうどアンズや他のフルーツも出始めてきているのでそれを目当てに訪れるのも良いかもしれないですね。
それではまた7月にお目にかかりましょう。

 


執筆者紹介:  くーこ さん

つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。

学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。

趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。

 コラム「つくばで食べる・つくる・育てる 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。

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