【コラム】つくばで食べる・つくる・育てる Vol.67『ツマグロヒョウモンって知っていますか?』
つくばで食べる・つくる・育てる
8月のテーマ「ツマグロヒョウモンって知っていますか?」
こんにちは、くーこです。夏休みもゴールが見えてきましたね。中にはこのコラムが出る週に学校が始まるところもありますよね。学校始まる直前は宿題で右往左往しているおうちも多いと思います。幸いにも、うちの息子は部活ルールで1週間前に全て終わらせていないと活動に参加できないのでこの3年間バタバタすることはなかったです。前日夜に「雑巾2枚」はありましたが…
夏休みの定番宿題と言えば自由研究や観察日記をつけたりしましたが、親も一緒に観察しているとなんとなく観察対象に情がわいてしまい、子どもより熱心に取り組んでしまうことがままあるようです。
夏休みに入る前に友人たちとお茶をしていたのですが、友人Aが「ツマグロヒョウモン育ててるんだよ~」とにこやかに語りだしました。ツマグロヒョウモンという名をこの時まで知りませんでしたが、オレンジ色が鮮やかなかわいい蝶とのこと。前の年に庭のパンジーに卵を産んで子どもと観察していたら、なんだかかわいく思えてしまい、今年は本格的に育て始めたとのこと。話を聞いてみるととても興味深い生態をしています。
一番の特徴は、幼虫の餌はスミレ科の葉しか食べないことでしょうか。かなりタイトな縛りがあるため、彼女は春はパンジー、その次はニオイスミレをホームセンターで一番大きなプランターを12個連結して栽培し、そこに卵を産ませて育てているのだとか。「もはや狂気!(笑)」と友人Bと3人で笑っていましたが、人工保育はなかなか上手くいかないようで…
というのも、さなぎになる時にアゲハは茎は壁にくっついてイナバウアーの様に体をそらせますが、ツマグロヒョウモンはパンジーやスミレの花の∫←こうなってる茎の先端にぶら下がってさなぎになるそうなんですが、卵をかえし過ぎてぶら下がる場所がないのだとか…苦笑いしつつ、3人寄れば文殊の知恵と言いますし、ドーナツ食べながら考えた結果、割りばしに花の茎みたいに曲げたビニール帯を巻き付けてプランターに突き刺す案を採用してみることに。シュールな絵面は免れませんが、作戦は上手くいったようです。
先日はエサが乏しくなってきたから自生のスミレを探していると連絡があったので、心当たりを教えたのですが、何がそこまで彼女を虜にしているのか興味本位で聞いてみたら、買い過ぎたレシートみたいに長いLINEが連投されてきました。
なんでも、幼虫が小さくてかわいいらしいそうです。小指の第一関節ぐらいの大きさで、黒地に赤の模様が入っていて、毛虫に模すためのツンツンした突起が体中にあるんだよと。私はそうは全く思わないのですが(むしろ見たら全力で逃げるお姿でした。検索注意です)、そう思えるらしいです。その幼虫たちはエサを食べるときに威嚇をするらしいのですが、体の2/3くらい起こして「ムン!」と相手に迫るそうで、勝つとたくさんエサが食べられるらしいです。
あとは、さなぎになる数日前が特に食欲が旺盛になるとか、夏前に成虫した子が卵を産みに来てくれるとか、様子も見に行くと蝶々になった子たちがふわっと飛んでお庭がメルヘンになるなどなど。私には理解しがたい世界だからこそ、饒舌に語られるツマグロヒョウモンの世界がとても面白かったです。それこそ、観察記が1冊書けそうなぐらいでした。
そうなると、ちょっと協力したくなるのが人ってもので、私も散歩がてらスミレの葉っぱを見かけると採取して食料の足しにしてもらっています。
はたから見ると完全に不審者ですが、「ツマグロヒョウモンのえさにするんです~」って言うと、「ああ!」っていう方もいるので、実はよく知られた存在なのかもしれませんね。
さて、いつもコラムには写真を載せるのですが、先にも書いた通り見た目のインパクトがあるのと、虫が苦手な方がいらっしゃるかもしれないので、写真ではなく初のAI生成画像を作ってみました。
進化すると言えばポケモンなので、ポケモン風に書いてもらったら色がまず違う。けれど、イメージ的には合っている気がします。蝶の絵は合っていました。イメージ通りの画像を生成してもらうのはなかなか難しいですね。
それではまた9月にお目にかかりましょう。
執筆者紹介: くーこ さん
つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。
学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。
趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。
コラム「つくばで食べる・つくる・育てる 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。