コラム【 苔玉に寄せて 】Vol.2

西方寺-苔寺

苔玉の魅力

苔庭で著名な京都の西芳寺(苔寺)へ行かれた方は多いことでしょう。
私は今から54年前(大学1年生でした)、若き日の3月に雪降る苔寺を訪ねました。
雪の白と苔の緑の織り成すコントラスト、「静けさ」に癒され感動したこと、鮮明に覚えています。
その後、富士の原生林「樹海」、青森県の奥入瀬、奥只見の谷筋など、素晴らしい自然の苔に触れてきました。

いつの日か若い日のあの感動を多くの人々にお伝えしたい・・・・・
「苔玉」園芸を立ち上げた原点です。

今、若い人たちのワンルームやアパートのお洒落なルームインテリアオブジェとして着実に「苔玉」が定着してきました。
さらに、若い人たちの嗜好が洋風の観葉植物から わび・さび の「和の観葉植物」へと変化しつつあるようにも感じております。

苔で覆われた丸い土の上に、山野草や木の苗をシンプルに植えただけの、たった一個だけの小さな「苔玉」空間に、無限に拡がる思い・癒し、どんな宇宙を拡げているのでしょう。
苔玉に仕立てられた植物は多種多様です。ウメ、ケヤキ、モミジ、ミズナラ、クロマツ、アカマツ、シュンラン、コクリュウなどの和の植物、ミニチュアローズ、デンドロビューム、ガーデンシクラメンなどの洋風の花・・・・・

人それぞれに素晴らしい思いを描いて頂き、心癒して頂きたいと思っております。

 

執筆者紹介 –  S.Miyauchiさん

日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。
つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。

 コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。

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