【苔玉に寄せて】Vol.14〜苔玉Q&A
苔玉 Q&A
苔玉を育てるにあたって、多様な質問を受けること、しばしばです。
こうした疑問・質問の一部についてご一緒に考えてみましょう。
1. 「苔玉」はこのままの姿・形でどの位持ちますか?
今までの体験から申し上げます、管理次第で5~6年、楽しめます。
2. 「苔玉」は剪定・整枝してもいいですか?
植物の鑑賞に当たっては、均整のとれた適度の大きさが求められると思います。好みの高さ、枝幅、枝ぶりになるように、剪定・整枝は必要だと思います。植物たちは苔玉という限られた根部に閉じ込められているので、左程大きく伸長・成育することはありません。
3. 「苔玉」に肥料をやってもいいですか?
苔玉に肥料を与えますと、コケは枯れてしまいます。肥料はやらない方が無難です。それでは、植物が上手く伸長しないとご不満の方は、苔玉を崩し鉢植えなどに切り替えて育てられることをお勧めします。どうしても、苔玉姿のままで肥料を遣りたい場合、参考までに、私は濃度の極薄い液肥を肥料が触れないように、注射器を使って苔玉内部にほんの少々注入したりしています。
4. 寒い冬を過ごさせるには、「苔玉」はどんな場所に置いたらいいですか?
ミニ観葉植物、シクラメン、洋ランなどの花物、等、寒さに弱い植物の苔玉でしたら、当然、室内などの暖かい場所で管理しなければなりません。でも、暖房器具などの近くに置いては、苔がカラカラに乾いてしまい、遂には枯れてしまいます。ほどほどに暖かい場所を選んで下さい。
ウメ、サクラ、モミジなど寒さに強い植物の苔玉でしたら、路地で管理した方がいいでしょう。ただし、苔玉部分が凍結することは避けて下さい。
5. 水はどの程度遣ったらいいのでしょう?
「苔面がしっとりと湿っている程度」を保つ、と一言できるでしょう。
6. 受け皿に水を張って「苔玉」を管理してもいいですか?
受け皿に水をたっぷり入れて、苔玉部分を水浸しの状態に保っては、苔が腐ってしまいます。適度の空中湿度を保ち、風通しの良い状況を作ることです。
7. 苔玉が乾燥しないように、日陰に置いて管理すべきか?
とんでもない、苔だって一般の植物同様、葉緑素を持ち、炭酸同化作用をして、生きています。レースのカーテン越し程度の太陽光線は必要不可欠です。
私たちの生活空間に「緑の苔玉」を持ち込むのですから、私たちと、緑の植物にとりましてベストな環境が望まれることは当然です。でも、この双方の目指すベストな環境は、ほとんどの場合相反することがしばしばです。体験を積み重ねて、楽しい「苔玉園芸」をお楽しみ下さい。
執筆者紹介 – S.Miyauchiさん
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。
つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。
本コラムはおかげさまで連載1周年をむかえることができました。ご覧いただいてます皆様に深く感謝申し上げます。