【苔玉に寄せて】Vol.56~苔玉植物の分類
苔玉植物の分類
苔玉教室の中で、よくある質問に、「この植物は何科に属する植物ですか?」と問われることが多くあります。「エッ、桜がバラ科に属するんですか!」って、驚かれたり、また「なるほどネェ」と納得してもらったりと様々です。いずれにしても、より深く、詳しく植物を知りたい、興味を抱いて頂くこと嬉しく、質問にお答えしています。

桜の苔玉

バラの苔玉
「科名」とは、植物分類学上の一つの段階であって、「科名」から植物を探すことが出来ますし、同じ科の植物一覧などから植物の育て方、基本情報などを知ることも出来ます。「科名」に興味を持っていただくことは、植物探求の第一歩かもしれません。
私が植物分類学を学んだのは、大学時代に佐藤清明先生(昭和天皇が岡山下向なさった折の植物のご案内を務めた植物学者で、牧野富太郎先生とも別懇の中)の講義を受けてからのことでした。55余年も以前の昔々のことです。岡山大学の後背にある広大な大学演習林を歩きながら、野に生育する植物を指し示しながら、誠に気さくに、だけど懇切丁寧に植物の多くをお話頂き、深く感銘したこと、忘れられません。
苔玉植物たちと触れるなかで、その植物の「科名」検索に始まって、更に奥深い植物たちとの触れ合いを多くの人たちに体験して頂きたいと願っております。新型コロナウィルス渦中、ともすれば巣ごもり型の生活を余儀なくされる毎日です。苔玉植物の一つ一つに触れて頂き、より深く植物探索して頂くことで、新たな楽しい時間を過ごして頂けるものと信じております。狭い園芸工房・私の部屋には、多くの種類の植物たちが緑をいっぱいにひろげています。いろいろな植物たちと触れ合いながら、今は亡き佐藤清明先生にもっと多くのことを学んでおきたかったと悔い反省し、コロナ禍巣ごもりしています。

植物学者 佐藤清明 先生
~ リーフレットより引用
因みに、岡山県内に佐藤清明記念館が設立・開園しているはずです。
コロナウィルス制圧できた折には、是非、佐藤先生記念館を訪ねたいと、思いを致しているところです。
執筆者紹介 – S.Miyauchiさん
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。