【苔玉に寄せて】Vol.63~苔玉の材料植物を訪ねて

苔玉の材料植物を訪ねて

新潟市の新津地区に苔玉の材料を探しに来ている、

この地区はサツキツツジを代表とする花木類の生産地です。今年は春の到来が早く、ウメ、サクラ、ハナモモ、モクレン等、一挙に開花し、今まさに春爛漫。

今年の2月に過去最大級の豪雪に押し潰された農業用ハウスが多くみられ、折れたり曲がったりした植物や、寒さで枯れてしまった植物たちの残骸も多くみられ、天変地異に見舞われた生産者の皆様のご苦労をおもわずにはいられません。

そんな状況下で、目的の苔玉材料ですが、いろいろな種類の植物を見つけることができました。アマチャ、大実ヤブコウジ、コナラ、柏葉アジサイ、ケヤキ、姫サルスベリ、スモークツリー、西洋シャクナゲ、ナナカマド、二期咲き金毛ツツジ、ハナズオウ、ヒメウツギ、ヤマアジサイ、モミジ類、ユキワリソウ、レンゲツツジ等々、多くの植物を見つけました。

新潟の新津地区のほか、福岡県久留米地方、香川県高松市、兵庫県三田市、鹿児島県鹿屋市、長崎県島原市、茨城県かすみがうら市、愛知県豊田市、埼玉県川口市、東京都八丈島等々、いい材料を見つけるには、全国の花卉・花木類の産地を歩くことが必要になります。また、肝心な苔については、山形県、新潟県、兵庫県、滋賀県等、日本海側の地方で見つけることになります。太平洋側では夏季・冬期の乾燥が影響して、あまりいい苔を見つけ辛い側面があるからです。

植物の生産地それぞれに、特徴ある気候など自然環境にあわせて、特産植物が生産・出荷されています。産地を歩き、多くの種類の植物たちの中から、苔玉に見合った植物に出会ったときの喜びは格別です。

雪害、暴風雨、乾燥などの天変地異の中で、多くの生産者の方々の努力の下で育成・栽培されている各地の特産植物たちです。生産される皆様方に脱帽・敬服です。苔玉という姿で、私たちの眼を楽しませてくれる植物たち・・・多くの災厄をかい潜って来てくれました。よく来てくれたネェ!・・・感謝です。

 

 

 

執筆者紹介 –  S.Miyauchiさん

日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。

 コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。

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