【苔玉に寄せて】Vol.70~コロナ明け?! 植物と一緒に健康で!

コロナ明け?! 植物と一緒に健康で!

 晩秋の園芸シーズンです。長かったコロナ戦下で必死の思いで命ながら得てきた苔玉植物たち、日照不足で軟弱にモヤシ伸びしてしまったモノ、水切れして枯死寸前のモノ、完全に枯れてしまったモノ等々、無残な状態にあります。忘れられていた園芸植物達にも少しばかり目を向け、何らかの手入れ・管理を施してやらねばと、反省・行動しております。

 施肥すると苔が枯死してしまうという理由で全く施肥しなかったこと、更に小さな「苔球地上」で生きている植物達です、肥料切れ傾向に陥るのは当然です。肥料を与える等して、何とか健康な植物体に戻してやりたいと思うのは、園芸を愛する人たちに等しくあるはずです。
肥料切れして息絶え絶えの観葉植物類、樹木類の苔玉については、葉面から直接を吸収させる「葉面散布」を行います。散布とは言え噴霧器などで吹き掛けては、苔面にも肥料が掛かってしまい苔を痛め、遂には苔を枯らしてしまいます。ツバキ、サザンカやキンズ等、比較的葉数の少ないものでしたら2000~3000倍程に希釈したハイポネックス等の液肥を、葉面に筆で塗布しています。また、葉数多く、葉面積の広い植物苔玉の場合は、苔玉を天地逆さに持って、2000~3000倍程の希釈ハイポネックス等の液肥に苔部分が液肥に触れないように注意しながら枝葉部分のみを浸し、浸した液肥が完全に滴り落ちるまで苔玉を逆さ吊りして水溶液肥をきったのち本来の姿に戻す、という方法をとっています。

 晩秋から年末にかけて開花を楽しむシクラメン、各種ラン類等の苔玉は、多くの人たちに楽しまれています。これらの花物では「花」を水溶液肥に直接浸しては、花を傷めてしまいます。この場合は、以前にもお話しました。苔玉の底根部分に注射器やスポイト等でほんの少しずつ、「苔」に希釈ハイポネックス等の液肥が触れないように注入する、という方法をとって下さい。

 コロナウィルスとの戦いは、一段落したようです。でも、海外では更なる流行の様子、アフタ・コロナとは言い難く油断できません。待ち遠しかったコロナ明けウィズ・コロナ下、私たちの園芸も新たな賑わいを呈しつつあります。植物たちと一緒に、晩秋、年末、新年そして来春へと、健康な日々でありたいと願います

 

 

執筆者紹介 –  S.Miyauchiさん

日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。

 コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。

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