【苔玉に寄せて】Vol.78~酷暑の中で『苔玉』と過ごしてます!
酷暑の中で『苔玉』と過ごしてます!
早々に梅雨明けし酷暑が続いています。高温多湿の中でエアコンは付けっ放し、室内で避暑するしかありません。エアコンを稼動させると、室内は乾燥傾向となり、同居する苔玉たちはカラカラに乾燥、『水が欲しいよー』と喘ぎ始まります。
猛暑様相の大気、併せてたっぷりの水管理、という二つの条件に恵まれると、苔玉植物たちは大喜びでスクスクと伸長します。
とりわけハンギング仕立て(吊り玉)のオリヅルラン、大実ヤブコウジ、トラデスカンチャ―、ハートカヅラ、ヘデラ類、ムラサキオモト、リシマキア等の草物植物たちは、一日に3~5㎝も伸びてきます。伸ばしっ放しで放置すると、鑑賞に堪えることのできない状態に繁茂してしまいます。高温多湿のこの時節、これらの草物植物たちへの管理・手入れを怠ることのないようにご注意です。
伸びすぎた新芽は芽摘作業を施して下さい。植物達は『頂芽優勢』という法則で、ひたすら植物先端の頂芽を優先して伸長して行こうとします。太陽光に向かって伸びようとする、生命の本質なんです。植物の先端である『頂芽』をカットすると、多くの脇芽(則芽)が伸びてきます。植物体がボリュームを増して、観賞価値が増してきます。
伸びてくる頂芽をカットするのは忍びないという場合は、長さ5~6㎝程度の逆J型に加工した園芸用アルミ線などで、伸長した頂芽を苔面に止め張り付けなどして、形を整えるとよいでしょう。
高温多湿の今日此の頃、毎日3~4㎝の勢いで伸長する『ハンギング仕立て苔玉』植物たちの形を整えながら、『水』と『光』と『温度』に恵まれて伸長・育っていく植物たちの生命力に触れる喜びに浸っています。
執筆者紹介 – S.Miyauchiさん
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。