【コラム】苔玉に寄せて Vol.87~春です、初夏です、苔玉園芸多忙です!
春です、初夏です、苔玉園芸多忙です!
迎春とは名ばかりの未だ寒さ厳しい新年、「苔玉仕立ての梅」の開花は、艶やかな紅白で春の訪れを実感させてくれました。ウメ開花に続いて、黄花のロウバイ、レンギョウ、桃色花のヒメコブシ、ハナモモと続き、春本番・桜花の季節となりました。マメザクラ、雲竜湖上の舞、御殿場桜等の一歳もの品種の「サクラの苔玉」を多くの方々に作って頂きました。

春・本番です・・・・・新緑のヤマモミジ、赤芽のノムラカエデ、ケヤキ、コナラ、アメリカハナノキ等々の落葉樹木類の芽吹き・新緑。更に蔓性植物・白花の羽衣ジャスミン、黄花のカロライナジャスミン、オリヅルラン、イングリッシュアイビー等の「吊苔玉」作りも大忙し、春爛漫の様相を呈してきた苔玉世界です。赤・白花のハナミズキ、黄花のレンゲツツジ、樺色花のカバレンゲツツジ、紫色花のヤマアジサイと、今年は初夏の訪れも早く目まぐるしいこと・・・・・
木の芽時、鮮やかに咲き誇らんとする花々、新緑の萌芽・・・と、苔玉植物たちに季節の変化を否応なしに知らされ、それに伴う時々刻々の管理・苔玉作成作業に否応なしに追いまくられる此の頃です。

また、この時期から徐々に陽射しも強くなり、風も吹き荒れて来るし、苔玉仕立ての植物たちは乾燥することで、潅水作業も大変です。植物たちが元気に育ち始めると、病害虫も喜んで発生します。風通し良い場所に苔玉たちを非難・養生、場合によっては薬剤散布もやむを得ません。
数百種類に及ぶ植物たちを苔玉に仕立てて40数余年、何年経っても変わりようのない「季節の変わり目の慌ただしさ」を、植物の成長していく喜び・・・・・と、少しばかり楽しみつつ、一方で多忙の程を身に染みつつ、また今年も忙しい時期が来たなと恨めしく思う・・・・・悪戦苦闘する苔玉チャレンジの日々を、「楽しいのだ」と自分に言い聞かせながら、多忙の季節を過ごしております。
執筆者紹介 – S.Miyauchiさん
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。