【コラム】苔玉に寄せて Vol.89~苔玉植物、スズメ一家そして私

苔玉植物、スズメ一家そして私

 ベランダの苔玉栽培陳列棚で、昨年に引き続いてスズメ君が営巣・子育てを始めた。定かではないが、昨年も営巣・子育てしたスズメご夫婦だろうと思われます。早朝から『ピーピー』と餌を求める小スズメ君たちの鳴き声も、間もなくの巣立ちで聞こえなくなるのでしょう。スズメ君一家の巣のベランダにうっかり私が近付こうものなら、『ジュ―、ジュ―』と親スズメに怒られてしまいます、「苔玉に水を遣るんだから」という私の事情説明は一切受け付けてくれません。仕方がない、私は窓を閉めて部屋に引きこもると・・・・・辺りの様子を伺いつつ、親スズメご夫婦はせっせと何処かで確保した餌を運んでいる。

 仕方がない、親スズメたちが餌探しに飛び立ったすきを見計らって、苔玉の水遣り等の私の務めを果たしています。子育てスズメ一家と私の園芸作業・・・葛藤・・・、今しばらく続きそうです。子スズメたちがしっかり大人スズメに育ち、巣立っていくまでの我慢、致し方なし!

 苔玉を栽培管理する棚には、オリーブ、大実ヤブコウジ、カマツカ、クロマツ、ユキノシタ、ラン類・・・等の苔玉・・・
更に、これから苔玉に仕立てて行く2.5~3.5号鉢に植え付けたケヤキ、コナラ、玉リュウノヒゲ、ミニサルスベリ、ヤマモミジ、ムラサキシキブ等の樹木苗たちや、園芸トレーに入った山積みの山苔が、水を欲して並んでいます。『水』と『緑』と『土』とが織りなす苔玉園芸植物のベランダに、断りもなく割り込んで営巣・子育てするスズメ君ご一家・・・・・葛藤しつつも、心密かに楽しんでいる私、三者三様です。苔玉植物とスズメ君ご一家に感謝!です。

執筆者紹介 –  S.Miyauchiさん

日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。

 コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。

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