【コラム】苔玉に寄せて Vol.101~苔玉の現況、 近い将来
苔玉の現況、 近い将来
苔玉を作って45余年の年月が過ぎ去りました。 この間、多くの人たちと苔玉を作り苔玉を語り合って来ました。 何とか、 園芸マーケットの一角に 「苔玉園芸」は認められているのではないかと思います。 さて、それでは今後 「苔玉」 君はどのような傾向をたどっていくのでしょう?・・・・・多分に気になるところです。
「苔玉」 も園芸マーケットの一商品です。 下表に示す曲線・ライフサイクルをたどっていくこと、 相違ありません。 では今、 苔玉の商品としてのライフサイクルはどのサイクルをたどっているのでしょう?・・・・・「浸透期」 の初期段階にありそうだ・・・私の直感するところです。

手作り一品モノであり、かつまた園芸農産品 (下代価格商品) である苔玉は、上代価格商品(工場出荷・大量生産商品)とは異なり、まことにゆっくりと流れるライフサイクルをたどっていくことでしょう。
マーケットの大部分は 「苔玉」 の存在すら知る由もない・・・・・のが現状です。 原材料の山苔は、その殆んどが山採品 (自然モノ)で出荷量が極めて少なく、入手に困難を伴うのが現状です。また、クロマツ、モミジ、ヤマアジサイ等々の生産者も減少傾向にあります。これら苔玉の原材料の入手困難も、 苔玉の浸透・拡大発展の足枷となりつつあります。

でも、苔玉に興味を抱いて下さる園芸愛好家は徐々に増えてきました。 困難を一つ一つ克服しつつ、 苔玉愛好家の皆さまのご期待に応えていきたいと思っております。

執筆者紹介 – S.Miyauchiさん
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について45年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。