【コラム】苔玉に寄せて Vol.105~苔玉の受皿を見直してみましょう

  室内の一角にさり気なく設えられた苔玉・・・心癒されること、しばしばです。

益子焼、笠間焼や美濃焼等の渋い色合いの陶製皿に置かれた苔玉仕立てのヤマモミジ、クロマツ、コナラ等には、ついつい見惚れてしまいます。赤い実を着けたヘビイチゴや暗赤色花のワレモコウ等の山野草の苔玉たちが、微かな風に・・・・・揺れる動きを覚えさせられたとき・・・・・心地よい自然との触れを知らされます。

 赤、黄、紫と艶やかな色合いの花・ミニチュアローズの苔玉は、洋風食器皿盤上に可愛らしく煌びやかに、彩を添えています。

 洋の東西を問うことなく、それぞれの出生に合った陶製の皿上に苔玉植物たちは、その存在を主張しています。主役・苔玉植物たちを支えるものの、受け皿は品格ある優しさをもち、でも目立って欲しくはありません。 苔玉植物と受皿との関係を、少しばかり深読みしてみます。

白色の受皿は避けるべきです。皿は陶製・磁器製の二種類がありますが、中でも磁器製の皿は白色に仕上げられたモノが多くみられます。白色地の皿に太陽光線が当たると強い反射光が発生し、その反射光線が植物の葉裏を照らすこととなり、植物を痛めることになってしまいます。

 また、受皿の白色は明度20度で明るく目立ちます。私たちが見たいモノは・・・
緑色の枝葉と、赤色に代表される花や果実・・・であったはずです。緑色と赤色は明度14度で、白色よりも暗くて目立ちません。明度20度の白色受皿が目に入り、明度14度の緑や赤い花の存在が薄れてしまう・・・という結果、本能的にセンスの程を疑わざるを得ない結果を招くということになります。 結論、鑑賞する植物の受皿等は、白色のモノは避けてください。

執筆者紹介 –  S.Miyauchiさん

日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について45年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。

 コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。

LINEで送る
Pocket