【コラム】つくばで食べる・つくる・育てる Vol.62『桜を味わおう』

つくばで食べる・つくる・育てる
3月のテーマ「桜を味わおう」

 こんにちは、くーこです。3月に入り、急に暖かくなったかと思ったら、今度は急に寒くなり、雹や雪がこちらは降ったりしています。もうすぐ春分の日ですが、今年は梅の開花も遅かったのか14日の時点で水戸の偕楽園は満開でしたよ。普段だと、もう終わりかけなんですけど今年の春はゆっくりとやってくるようです。

となると、桜も開花するのも遅くなりそうですね。いつもだと春分の日を境に桜の開花宣言を聞いてお花見の予定を立てたり、入学式に間に合うのかどうかそわそわしたりするのですが、今年はまだ気配がありません。なので、一足先に桜にちなんだものを食べて開花を待ってみようと思うのです。
桜と言えば今でこそソメイヨシノですが、昔はヤマザクラでした。その美しさは観る人の心を捉え、古くから多くの歌や物語に詠まれてきました。しかし、桜は観賞するだけでなく、食文化においても重要な役割を果たしてきたことを知っていますか?

桜を食として楽しむ文化の起源は、平安時代に遡ると言われています。当時、貴族たちは桜の花を塩漬けにして保存し、お祝いの席などで桜湯として楽しんでいました。また、桜の葉も香りが良いことから、食材を包むのに利用されていたと考えられています。桜湯は現在でもお祝いの席で出されることが良くありますよね。私も最近では来賓で出席した小学校で待ち時間に桜湯を出していただき、その華やかな香りが祝典にピッタリだなと思いました。葉の塩漬けは桜餅ですよね。葉の香りが和菓子に移り、春の訪れを感じさせてくれます。私は葉と一緒に食べる派です。甘塩っぱいのが良きです。桜餅が作られたのは江戸時代と言われていて、それまで貴族の間でのみ食されていた文化が庶民にまで広がったと言われています。この時代には、桜の花や葉を使った様々な加工食品が開発され、食卓を彩るようになりました。

このように、桜を食す文化が発展した背景には、日本人の自然に対する畏敬の念と、季節の移り変わりを大切にする心が深く関わっているように感じます。桜は春の訪れを告げる象徴的な花であり、その儚くも美しい姿が日本人の美意識に深く根付いるからではないでしょうか?
そして、日本人は古くから自然の恵みを食卓に取り入れ、季節の移り変わりを五感で楽しむことを大切にしてきました。桜を食す文化は、その表れの一つと言えるでしょう。

驚くのは桜の葉には「クマリン」という成分が含まれていて、これが良い香りのする元なのですが、抗酸化作用や抗菌作用があり美容効果もあることです。昔の人がこれを無意識にやっていたとは日本人の食に対する貪欲さってすごいですよね。ただ、このクマリンは摂取しすぎると肝機能障害が出る毒性も併せ持っているのだとか。普通に楽しむ分には全く問題ないので、適度に楽しみたいですね。

最近はこの時期になるとお菓子メーカーからも期間限定で桜味が出たり、製菓材料店でも桜餡や桜パウダー、桜シロップなど手に入りやすくなりました。SNSでもパウダーや餡を使ってロールケーキやシフォンケーキを焼いている投稿も目にします。和の食材を洋菓子に使うのが大好きなので常にチェックしていますが、どうやらそれは日本だけではなく世界中からも注目されているようで、桜を使った食品や飲料が人気を集めているそうです。

その中でも私のおすすめは、やはり桜餅ですね。その中でも道明寺が大好きなんです。こちらの和菓子屋さんではあまり見かけないのですが、見かけたら即買いします。関東風の桜餅もモチっとしていて好きなので、両方あればもちろん両方買います。
皆さんも春を待ちながら桜の恵みを味わってみてはいかがでしょうか?

それではまた4月にお目にかかりましょう。


執筆者紹介:  くーこ さん

つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。

学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。

趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。

 コラム「つくばで食べる・つくる・育てる 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。

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