【コラム】苔玉に寄せて Vol.113~コウモリランの苔玉

 コウモリラン(ビカクシダ)の苔玉作りにチャレンジしました。

まず、 
①.プラスチック製鉢に仕立てられていたコウモリランの根部の土を払い落とす。 
②.その根元を水蘚で丸く包む。  
③.根元を丸く包んだ水蘚が密着・落ちることのないように、木綿糸でしっかりと巻き止める。 
④.水蘚で覆った根部を分厚い山苔で包み、山苔が密着・落ちることのないように、ミシン糸で巻きとめる。 
⑤.苔玉仕立てコウモリランの発芽方向、見た目の形状等を見定めながら、吊り金具をセットする。
⑥.プラスチック製鉢に植えられていたコウモリラン、吊り苔玉仕立てに変身です。

立派なコウモリランの吊り苔玉が仕上がりました。太陽光線の十分に差し込まない室内で、大きく羽ばたくコウモリランの葉が垂れ下がることを期待します。

 プラスチック製の植木鉢は便利な鑑賞植物の運搬・乗り物です。軽くて割れ難い、大小さまざまな大きさのプラスチック鉢は、園芸の拡大・発展に貢献したこと、大きなものがあります。

 でも、植え付けた植物たち(自然)との馴染み・・・・・今一つ、しっくり来ない、どこか違和感を覚えてしまいます。苔で鑑賞対象の植物の根元を覆う・・・・・植木鉢の代替品としての苔・覆い・・・・・今度は『しっくり』です。

 『鑑賞植物と苔』とのコラボレーション、更に下草や添景物を添えて、『苔』生す大地に育つ植物たちの景観を描いているようです。園芸の世界に定着してきた『苔玉』です、これからも多種多様な苔玉作成にチャレンジしていきたい・・・・・想い描いています。

プラスチック鉢に押し込められていた『コウモリラン』、吊り苔玉に仕立てられて自然に大きく羽搏いているようです。て、壮大な、素敵な景観を描き・作っていきたいと願っています。

執筆者紹介 –  S.Miyauchiさん

日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について45年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。

 コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。

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