【コラム】苔玉に寄せて Vol.119~寒中の苔玉
年末です、今期一番の寒い中で、マンリョウの苔玉作りにチャレンジしました。縁起を担いで赤実のマンリョウを一株、白実のマンリョウを一株、紅白取り揃えました。単純な一本立ちの樹形に飽き足らず、幹にアルミ線(径:2.5㎜)を巻きつけて樹形に変化をつけてみました。見事な紅白の『マンリョウの苔玉』になりました。緑色の葉っぱに包まれた小さな粒の赤と白の果実たちが、早々に新春をもたらしているかの如くです。

寒さ厳しい中で、みずみずしい緑・赤・白色を精一杯演じてくれる植物たちの息遣いに『感謝』です。万両と共に千両、百両(カラタチバナ)、十両(ヤブコウジ)、一両(アリドウシ、蟻徹し)を取りそろえると『金運』に恵まれる・・・・・
『万両・千両・百両・十両、有り通し!』だ、とか・・・・・

極めて狭くて小さな苔玉大地に、寒中にもかかわらず元気な生命力を見せてくれる植物たちです。油断すると枯らしてしまいます。新春を寿ぐ苔玉植物の代表に『マツ』を使うことが多いですが、『松の苔玉』を枯らしてしまったと耳にすること、しばしばです。原因は単なる水切れでした・・・!

マツ等の常緑樹は、冬でも葉っぱは元気な緑色です、少々水が切れた状態でも緑の姿を何とか維持しています。室内の空気はエアコンで乾燥・・・!緑色であったはずの松の葉っぱが茶色がかってきて、やっと水切れに気付く・・・という顛末。マツが枯れた、ツバキが枯れた、マンリョウ、センリョウもまた然り。冬季の空気は乾燥しています、更に煖房・エアコン等による強制乾燥・・・、植物たちも苔の台地も水切れ、気付いた時すでに手遅れ、という次第です。
一見しては、マツもツバキもマンリョウも緑色の元気そうな葉っぱです。気温が低いために急激な水切れ症状を表すことがない、ついつい苔玉の芯部分に水分が枯渇していることに気付かない、為に枯らしてしまう、という顛末。 噴霧器で苔玉表面に霧吹き潅水した積り、では間に合いません。苔玉の冬管理の基本は、やっぱり『水遣り』を忘れないことです。

執筆者紹介 – S.Miyauchiさん
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について45年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。