12月中旬を迎え、急激に寒さ厳しくなりました。ベランダに展開していた熱帯や亜熱帯地方生まれの植物たちを、大急ぎで室内へ取り込む・・・観音竹、月下美人、大銀龍、ウンベラータ、サンスベリア、ブーゲンビレア・・・どれも30㎝の大鉢仕立ての巨体、室内は熱帯ジャングルの様相。
熱帯巨木の足元は小さな植物たちが溢れている、『苔玉』『多肉植物』等々・・・寒風吹きすさぶ外空間から室内に取り込まれて安堵しているようです。
年末・年始の苔玉たちもいっぱいです・・・ミニシクラメン、カロライナジャスミン、ミニバラ等の花の苔玉・・・クロマツ、ミリオンバンブー、紅白のウメ、赤実のナンテン、マンリョウ、ヤブコウジ、等々の新年を寿ぐ苔玉たち・・・ガジュマル、パキラ、ポトス等の亜熱帯植物の苔玉たち、私の部屋はパソコン空間を残し、植物たちに占拠されてしまっています。
乾燥した寒風吹きすさぶ戸外に放置しては、『苔玉』は上手く育ちません。本来、『苔』は高い空中湿度を好む植物です、西から吹きすさぶ空っ風は、『苔』は勿論のこと、植物本体をも傷めてしまいます。さらに氷点下に降下してしまっては、苔玉も凍結してしまいます。苔玉も乾燥・寒風そして寒さは避けなければなりません。
年末・年始を松竹梅の『苔玉』で寿ぎ、暖かさ陽射す春の訪れを心待ち、苔玉や亜熱帯生まれの植物たちを同居人として面倒見ながら、楽しみながら、厳寒期を乗り切ります。
執筆者紹介 – S.Miyauchiさん
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について45年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。
こんにちは、くーこです。
みなさんはSNSやっていますか?投稿はしなくても、見ている人がほとんどではないでしょうか?私もその一人なのですが最近ちょっぴり気になる投稿があります。
それはバターに関するものだったのですが、マーガリンに引き続きバターも選ばないと摂取するのは危険って書いてありました。よくよく読んでみると、ツッコミどころ満載でホルモン剤使用しているから危険→日本の畜産業界では治療目的以外では使用されていない、遺伝子組み換えの餌を用いているから危険→農林水産省での安全審査を飼料だけでなく食品としても受けている…と、こんなこと書いて大丈夫なんだろうか?と書いた人を逆に心配してしまいました。安全って言ってるグラスフェッドバターだって乾燥した草を与えても名乗れちゃうんだけどなぁ…疑いだしたらきりがないです。
が、本当に最近こんな投稿が多いのです。もうひとつあげるとすると醤油です。「脱脂加工大豆を使った醤油はニセモノ」らしいです。丸大豆使って、小麦と塩と水で仕込んだ醤油こそ本物だしおいしい!のだそうですが、3年間息子の自由研究で醤油を一家総出で研究した結果を踏まえてこう言います。「好きなの使えばいいと思うよ」です。丸大豆使って本醸造で醤油を作ってもガラス容器で作れば常在菌がいないのでおいしい醤油はできません(自家製醤油、正直微妙でした)。木樽と本醸造で作った醤油はどれもおいしいけれど、値段が高くて煮物とかには躊躇します。うちにも数本小瓶で置いてありますが、お刺身や冷ややっこなど素材の良さを引き立たせる調味料としての立ち位置です。北陸や九州でよく使われる甘醤油はそれこそ老舗の醸造所でも脱脂加工大豆や添加物が使われています。ただ、脱脂加工大豆って悪じゃないのですよ。大豆のしぼりカスって言われていますけど、国内の大豆需要の75%が大豆油目的でそのまま産廃になるより余程SDGSだと思いませんか?それに油分が無くなることで生産効率の良く旨味の高い醤油が作れるそうです。遺伝子組み換え大豆も大手メーカーでは一般的な醤油に関しては使っていないと公表していますしね(それを信じるかどうかは個人によるでしょうが)。息子も自由研究で「こんなに手間暇とお金がかかる醤油を気軽に使えるようにしてくれた企業努力は本当にすごい!」って書いていましたが、本当にそうだと思います。
自家製の醤油
そんな記事を複数目にしたので今回いろいろ調べたのですが、やはりその様な内容を信じてしまう人がある一定数いるらしく、風評被害を受けた酪農家さんや企業はたくさんいるようです。
なので、受け手側は真に受けずに自分できちんと調べて欲しいなと思います。その上で自分が良いと思ったものを信じればよいのではないかと。私も食に関しては「なるべく地産地消」をマイルールにしていますし、使うスーパーとか、地場野菜の生産者さんも決まっていたりします。よくよく見れば、調味料もここのじゃないと!って物もほとんどです。だから自分が好きなものは人にもオススメしたくなるのも分かりますが、その時はやさしい言葉でお願いしたいですね。人目を集めるためだけに過激な言葉を使うことは避けていただきたいです。どの商品でも買うには何かしらの理由があるでしょう。あなたにとってそれが「ニセモノ」であったとしても、誰かにとっては「ホンモノ」であると私は思っているので、そこを否定しないでくれると平和に過ごせる気がします。
ということで、私はマーガリンもバターも大手メーカーの醤油も地元の醸造所の醤油もおいしくいただきます!おいしいは正義!!です。それだけで十分じゃないですか?
それではみなさん、来月もお目にかかりましょう。
秋の風景~車窓から
秋の風景~干し柿
つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。
学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。
趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。
コラム「つくばで食べる・つくる・育てる 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。
10月下旬頃から花屋さんの店頭に並び始めたシクラメン・・・・・赤、紫、ピンク、白等とバラエティ豊かな花色のシクラメンがいっぱいです。この時期、『苔玉』もシクラメンの人気が高く、『シクラメンの苔玉教室』を募集・開催すると、瞬く間に定員いっぱいになります。苔玉教室・当日は、赤花がいい、いや白花だ、紫色花だと、賑わいます、嬉しいことです。
60余年以前、私は園芸学研究室で花卉の園芸学を学ぶ大学生でした・・・が、シクラメンは、これ程多種・多量に出回っていませんでした。花色も殆ど赤色のみ・・・今日に比べると、まことに貧弱なシクラメン園芸でした、隔世の感がある今日のシクラメン園芸です。
元気に育つ鉢仕立てのシクラメンは、植え付けられた鉢いっぱいに葉が拡がっています。葉数が多いだけに、鉢植えで元気に育っているシクラメンは、葉面からの蒸散作用による水分の蒸発が多くなります。うっかり水遣りを忘れて、花茎・茎葉とも萎れてしまった姿をよく見かけます。急遽・水を遣って、元気な姿に立ちなおしてみようと試みるものの、グンなり萎れた茎葉・花茎をもとの姿に立ち上げ直すのは、容易なことではありません。
そんな時の対応策として、私は『ションボリ』してしまった鉢植えシクラメンにたっぷり水遣りして、その後しっかり水を切って、然る後に、鉢植えシクラメンを逆さに吊るす作業を施します。2~3時間後、逆さ吊りした鉢植えシクラメンを正常体形に戻す・・・・・ほとんどの場合、元気な姿に戻ってくれます。『苔玉仕立てのシクラメン』が、水切れ・ションボリしてしまった場合は、鉢植え以上に効果抜群です。元気なシクラメンに立ち直ったところで、『葉組み』作業を施しながら、花茎を立ち上げ直して鉢植え姿全体を整えて下さい。
あくまでも、緊急事態対応策です、基本は水遣りを忘れないことが一番です。上手く管理を行って、年末のシクラメン園芸をお楽しみ下さい。
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について45年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。
こんにちは、くーこです。ようやく秋がやってきましたね。今音楽の秋を堪能中です。最近、クラシックギターの曲が突然好きになり、その最中にペンギン・カフェ・オーケストラを知り秋のカラッとした空ににピッタリな曲もあってよく聞いています。
先日、実家に栗が届きました。量が多いのでもらってほしいと言われたので行ってみたのですが、箱にぎっしりと詰まっている立派な栗。大粒で丸いから利平栗だと思われます。利平栗は和栗の中でも濃厚な甘さがあると言われていて、高級品種です。親は1kgあれば良いからと残り3kgをもらって帰ってきました。Ricoさんやお友達にも少しおすそ分けして、さて何を作ろうか悩みます。というのも、この栗を送ってくれた方が渋皮煮を作る名人で、この時も渋皮煮を同梱してくれていたのです。そうなると自分で作る気は全く起きないので別なものを…
ということで、先月のコラムにも書きましたがもち米がたくさんあるので、王道の栗おこわを作ることにしました。
ここで一番大変なのは栗の皮むきです。ものすごくハードルが高い。ひとまず1kg一晩水に漬けて鬼皮を剥きやすくします。少しは剥きやすくなったはずですが、そうでもなくて結構泣きそうになります。ひとりで黙々と剥いてようやくゴールが見えてきたら家のチャイムが鳴ったので玄関に出てみたら、お隣の奥様が袋を持って立っていました。この時点で嫌な予感しかしません。「栗たくさんもらっちゃって、年寄りにはきついからもらってくれない?」はい、追い栗確定です。なんでも、お友達が栽培しているそうです。ただ、茹でて食べるしかできないからうちに持ってきたとか。それならばと、「栗おこわ食べませんか?」と提案してしまいました。私の中の昭和マインドに火が付いた瞬間です。この日は息子の幼馴染のおうちにおこわを持っていくことになっていたので大量にもち米の準備しておいてよかったよかった。せっかくなので、頂いた栗も入れて作ることに。結局2時間半剥き続けました。
味付けは栗の甘さを最大限に生かしたいので、シンプルに酒と塩のみ。蒸し布に水気を切ったもち米を入れて、上にカットした栗を散らして40分程度蒸していきます。途中で2回程打ち水をして味を入れていきます。味付けはこの打ち水でできるので、時々味見をして好みの味と柔らかさになったところで火を止めます。黒ゴマをさいごにぱらりとかければできあがりです。蒸した栗がとても甘くて最高においしく出来上がりました。お隣のご主人もその日の夜に電話で絶賛してくれたので自画自賛ではなかったと思います。ま、栗がおいしいからなんですけどね。
後日談として、栗を剥き過ぎて右指のしびれが1週間以上残りました。いつも肩のリハビリでお世話になっている先生にその話をしたら、今年は栗がなぜか豊作らしいからまたくるかもね。っておっしゃっていました(奥様の実家が茨城の栗産地なんだそう)。その後しびれは取れたのですが、おそろしいので、先日栗剥き器を購入しました。鬼皮と渋皮がガシガシ剥けるらしいです。キャベツピーラーもまともに使いこなせていないのに、栗剥き器が扱えるかは疑問でしかないですが。そして、息子から「幼馴染君(同じクラス)が毎日ママの栗おこわがまた食べたいって言ってくるんだよ。だからまた作ってくれない?」と報告があり、これはもう作らないといけないなと栗剥き器を握りしめて覚悟完了するのでした。
それではまた、11月にお目にかかりましょう。
☆水180ml
☆酒 60ml
☆塩 小さじ2
・栗 好きなだけ(この日は2㎏いれました)
・黒ゴマ 適量
② 栗は渋皮まで剥いて半分にカットしたら、水に1時間ぐらいつけてアク抜きする
③ ☆をボウルに入れ、よく混ぜて打ち水を作る
④ 蒸し器のお湯が沸騰したら、蒸し布に水気を切ったもち米を広げて、水気を切った②を散らす。ドーナツ状に真ん中をあけて、蒸し布の四隅をもち米の上にかぶせ、ふたをして強火で15分蒸す(蒸し布はしっかり濡らしてよく絞っておかないと米粒がつきます)
⑤ ボウルに④を入れて、③の半量をふりかけて軽く混ぜたら④の状態に戻して10分蒸す
⑥ ボウルに⑤を入れて、③の残りの半量をふりかけて軽く混ぜたら④の状態に戻して10分蒸す
⑦ 味見をしてまだ固かったり味が薄ければ残りの打ち水をふりかけて5分ずつ蒸す
⑧ 黒ゴマをお好みでかけて召し上がれ
つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。
学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。
趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。
コラム「つくばで食べる・つくる・育てる 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。
室内の一角にさり気なく設えられた苔玉・・・心癒されること、しばしばです。
益子焼、笠間焼や美濃焼等の渋い色合いの陶製皿に置かれた苔玉仕立てのヤマモミジ、クロマツ、コナラ等には、ついつい見惚れてしまいます。赤い実を着けたヘビイチゴや暗赤色花のワレモコウ等の山野草の苔玉たちが、微かな風に・・・・・揺れる動きを覚えさせられたとき・・・・・心地よい自然との触れを知らされます。
赤、黄、紫と艶やかな色合いの花・ミニチュアローズの苔玉は、洋風食器皿盤上に可愛らしく煌びやかに、彩を添えています。
洋の東西を問うことなく、それぞれの出生に合った陶製の皿上に苔玉植物たちは、その存在を主張しています。主役・苔玉植物たちを支えるものの、受け皿は品格ある優しさをもち、でも目立って欲しくはありません。 苔玉植物と受皿との関係を、少しばかり深読みしてみます。
白色の受皿は避けるべきです。皿は陶製・磁器製の二種類がありますが、中でも磁器製の皿は白色に仕上げられたモノが多くみられます。白色地の皿に太陽光線が当たると強い反射光が発生し、その反射光線が植物の葉裏を照らすこととなり、植物を痛めることになってしまいます。
また、受皿の白色は明度20度で明るく目立ちます。私たちが見たいモノは・・・
緑色の枝葉と、赤色に代表される花や果実・・・であったはずです。緑色と赤色は明度14度で、白色よりも暗くて目立ちません。明度20度の白色受皿が目に入り、明度14度の緑や赤い花の存在が薄れてしまう・・・という結果、本能的にセンスの程を疑わざるを得ない結果を招くということになります。 結論、鑑賞する植物の受皿等は、白色のモノは避けてください。
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について45年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。