炎熱地獄に汗まみれの悩ましい日々が続く私たち、でも、植物たちは元気・スクスクと伸び育っています。御多分に漏れず、水分が潤沢であれば『苔玉』たちも、誰憚ることなくグングン伸長します。
炎暑のなか、水遣りを怠りなく『苔玉』たちを見守ってやるしかありません。水を切らすと枯れてしまう、水が豊かであれば目に見えて大きく育ってしまう苔玉・・・苔玉の植物は、適度の大きさ・小さく纏まっていて欲しい・・・と願うのに、遠慮することなくアンバランスに大きく育ってしまう・・・育てる立場の悩みは尽きません。苔玉とにらめっこしながら、剪定したり、水遣り手加減したり、その悩みこそ育てる喜びと言えるかもしれません。
私たちの毎日の生活空間を、植物たちと同居・楽しむということは、植物たちの日々の成長・変化するプロセスを肌で感じることに醍醐味があります。植物たちを苔玉に仕立てて、私たちの生活サイクルに迎合させた姿、形、大きさであり続けさせることには一定の限界があります。私たちと植物たちのそれぞれの立場・言い分を調整し、一緒に同じ生活空間で生きていくことが、植物を楽しむということに他なりません。
『苔玉』に仕立てた植物が大きく育ってきたら、鉢植え仕立てに戻すとか、庭先に地植えして更なる成長を促してやる、等の対応が園芸植物を楽しむという本来のガーデニング・ライフということでしょう。植物の種類によっては、無理に小さく仕立ててカジュアルな『盆栽』風にして楽しむのもいいでしょう。
『苔玉』に仕立てた植物を、小さく愛らしい姿・形のまま永遠に維持・管理するのは難しい。植物は『日々、成長・変化する生命体』であるということに照らして、鉢植えや地植えに切り替えて楽しむ、程の園芸ライフを思います。『苔玉』を楽しみ続けたい・・・・・新たな小苗を苔玉に仕立てて、次世代植物を、苔玉に仕立ててお楽しみ頂ければ、と思います。
高温多湿の炎暑下にすくすく育つ苔玉・・・・・苔の玉に押し込められ、それでもなおスクスク伸長する植物たちの思いでした。
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について45年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。
こんにちは、くーこです。
しゅわしゅわの飲物がおいしい季節になってきましたね。最近は炭酸水にレモンとミントを入れるのがお気に入りです。窓を開けながら息子とレモンソーダを飲んでいたら、うぐいすの鳴く声が聞こえました。お隣さんのお庭には梅や椿などがたくさん植わっているので、それ自体は珍しいことではないのですが「この時期にうぐいすっているっけ?それにしてもすごく良い声して鳴くねえ」と息子もびっくりしていました。なので、通年うぐいすは存在しているが春に番を探してよく鳴いているから認識しやすいこと、鳴けば鳴くほど上手になっていくことを説明したらしょっぱい顔になって「つまり、婚活失敗してるってこと?」と尋ねてきたのでYes!と答えました。「早くパートナー見つかるとよいね」とうぐいすの幸せを祈らずにはいられない昼下がりでした。
閑話休題、私は夕飯後にウォーキングをしているのですが最近暗くなるのが遅いなあと感じていたら、カレンダーの6月21日に「夏至」と書いてあって納得です。夏至とはご存じの通り、1年で一番昼の時間が長い日のことです。私の中で夏至と言えばムーミンで、『ムーミン谷の夏まつり』や『ムーミン谷の仲間たち』に夏至の話が出てきます。夏至の前夜にニョロニョロが生まれるとか、物語の中だけの話だと思っていた枕の下に9種類(現在は7種類で良いらしい)の花を置いて寝ると夢で将来の旦那様に会えるとか、お祭りで焚いていたかがり火もフィンランドでは「コッコ」と呼ばれ悪縁を断ち切って良縁を結ぶ昔からの風習なんだそうです。
その他、ヨーロッパ各地で夏至のお祝いをするそうで、スウェーデンではミッドサマーと呼ばれるお祭りがあり、ニシンの酢漬けや新じゃがをおつまみにしてビールやスウェーデンウォッカを楽しむのだそう。有名なところだと、イギリスのストーンヘンジですよね。諸説ありますが、紀元前2500年頃の神殿で、夏至の日には祭壇から少し離れたところにあるスローターストーンと隣に立っているヒールストーンの二つの石の間を抜けて祭壇石に陽が射すそうです。非常に神々しい感じがしますね。
と、ヨーロッパでは夏至がかなり重要なものらしいのですが、日本ではあまりお祭りとか聞かないですね。神社で行われる夏越の祓ぐらいかも。その理由のひとつに夏至から半夏生の間に田植えをしていたから。昔は今よりずっと遅かったのですね。そんな忙しい時期にお祭りなんてしていられませんが、その代わりに豊作を願う食べ物を食べたり、お供えする風習は各地にあるそうです。最近は関東にも根付きつつありますが、半夏生にタコを食べるのは大阪周辺の風習で、稲がタコの吸盤のようによく根付くようになんだとか。他にも冬瓜・和菓子の水無月・三重県のみょうが・福井県の焼きサバがあるそうです。関東では新小麦の焼き餅があるそうなのですが、生まれて一度も食べたことがないです。
せっかくなので、縁起物の焼きサバとミョウガを使って焼きサバ寿司を作ります。作り方は非常に簡単。スーパーで塩サバ(骨抜き済み。ノルウェー産が脂のってておススメ)を買って、焼いて、酢飯と合わせて、ラップでぐるぐる巻いて出来上がりです。身の厚いところの皮面に包丁で切れ目を入れて焼くと皮がパリパリになっておいしくなりますがやってもやらなくてもOK。酢飯に薬味をたくさん入れるのでさっぱりとしていて夏向きな味です。包むのがめんどくさい人は焼きサバをほぐして薬味入り酢飯にかけると、そぼろ丼みたいでこれはこれでおいしいです。〆鯖が苦手な人でもこれなら食べられると思いますよ。ちょっぴり夏バテ気味な時にピッタリな気がします。
今年も猛暑になりそうなので、モリモリ食べてのりきりたいですね。
それではまた、7月にお目にかかりましょう。
☆塩こんぶ 大さじ1
☆白ごま 大さじ1
☆寿司ガリ 20g
☆みょうが 2本
① 塩サバは皮面に細かく斜めに切れ目を入れて、グリルかフライパンで両面こんがり焼いてそのまま置いておく
② ボウルに炊き立てのご飯とすし酢を入れて切るように混ぜたら、☆を入れて軽く混ぜる
③ 大きめに切ったラップの下側に皮目を下向きにしたサバを置いたら、その上に大葉3枚を敷き、②の半量を軽くまとめながら大葉の上に置いていく
④ 手前のラップを持ち上げ、巻いていく。ラップの向こう側を引っ張りながらきつく巻き、両端は最後に折り返し全体を棒状に整える
⑤ 30分くらい冷蔵庫で休ませたらできあがり。切る時はラップごと切るとうまくできます
つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。
学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。
趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。
コラム「つくばで食べる・つくる・育てる 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。
苔玉を作って45余年の年月が過ぎ去りました。 この間、多くの人たちと苔玉を作り苔玉を語り合って来ました。 何とか、 園芸マーケットの一角に 「苔玉園芸」は認められているのではないかと思います。 さて、それでは今後 「苔玉」 君はどのような傾向をたどっていくのでしょう?・・・・・多分に気になるところです。
「苔玉」 も園芸マーケットの一商品です。 下表に示す曲線・ライフサイクルをたどっていくこと、 相違ありません。 では今、 苔玉の商品としてのライフサイクルはどのサイクルをたどっているのでしょう?・・・・・「浸透期」 の初期段階にありそうだ・・・私の直感するところです。
手作り一品モノであり、かつまた園芸農産品 (下代価格商品) である苔玉は、上代価格商品(工場出荷・大量生産商品)とは異なり、まことにゆっくりと流れるライフサイクルをたどっていくことでしょう。
マーケットの大部分は 「苔玉」 の存在すら知る由もない・・・・・のが現状です。 原材料の山苔は、その殆んどが山採品 (自然モノ)で出荷量が極めて少なく、入手に困難を伴うのが現状です。また、クロマツ、モミジ、ヤマアジサイ等々の生産者も減少傾向にあります。これら苔玉の原材料の入手困難も、 苔玉の浸透・拡大発展の足枷となりつつあります。
でも、苔玉に興味を抱いて下さる園芸愛好家は徐々に増えてきました。 困難を一つ一つ克服しつつ、 苔玉愛好家の皆さまのご期待に応えていきたいと思っております。
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について45年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。
こんにちは、くーこです。ゴールデンウイークあたりから急に暑くなってきましたね。毎年直売所で小粒のいちごが出るこの時期に、1年分のいちごジャムを仕込んでいます。今年もバランスの取れた「とちおとめ」と香りが素晴らしい「べにほっぺ」の合わせて4㎏分作りましたよ。
ジャムはもともと春から夏に旬を迎えるフルーツを冬にも食べられるようにと作られた保存食で、「押しつぶす」って意味なんだそうです。果実をつぶして砂糖で煮たものってことですね。今は保存食というより、すてきな朝食を彩るアイテムになっています。私もいちごの他に、ブルーベリー・桃・いちじく・マーマレード・キウイフルーツ等、何か手に入ると作って保存しています。と言っても、実家の両親が食べる用なのですが。実家の朝食はアメリカンブレックファストなので、ジャムをその日の気分で2種類程選んでテーブルに並べているようです。ちょっとリッチな気分になるらしいですよ。
そんな私が作るジャムはお砂糖が少なめです。通常のレシピだとだいたい果物の量に対して50~100%の砂糖を使うのですが、私は20~30%です。例外で柑橘系は70~100%していますが、果物の風味やフレッシュ感が出るのはこれぐらいと作り続けて出した数字です。スッキリした味で甘さが舌に残らないと、意外と子ども達からも人気なんです。
ただ、砂糖が少ないと保存には向かないので、冷凍保存にしています。小分けにしておけば食べ切りで食卓に出せるのでおすすめです。
そして、もうひとつ作る時に大事にしていることなのですが、砂糖を最初から入れないってことです。作ったことのある人なら分かると思いますが、お砂糖を果物にまぶして水分を出してから煮るレシピが多いですよね?それだと、長時間煮ているうちに砂糖がキャラメル化したり、果物の色が飛びやすいので、私はアクを取りつつ最初は弱火で果物だけを煮て水分を引き出して、ぐつぐつ煮えてきたら中火にして、ヘラで混ぜた時に少しなべ底が見えたらお砂糖を入れてその後いっきに煮上げます。市販品はだいたい105℃まで温度を上げて仕上げているようなのですが、硬いテクスチャーがあまり好みではないので、103℃ぐらいのややゆるいくらいで火を止めています。自分の好みにできるのが手作りの良いところですよね。
シンプルに果物とお砂糖だけで作るのもおいしいですが、フランス等ではハーブやリキュールで香り付けしたり、果物×果物でより複雑な風味を出したりしています。以前、バリ島のホテルで出てきたいちごジャムはバニラが入っていて素晴らしくおいしかったです。ここで私も組み合わせに開眼して、お酒やスパイスを入れたり、お砂糖もスッキリさせたいときにはグラニュー糖、こっくりさせたいときには上白糖やきび砂糖にはちみつと、その時の気分でいろいろ入れています。今回は国産のレモンが手元にあったので加えてみたら、いちごの甘い香りの中に爽やかなレモンの香りがちらりとのぞく初夏にピッタリなジャムができました。この記事が出る頃にはいちごも終わり、他のベリー系が売り場をにぎわせてくれるので、ぜひおうちで楽しんでみてください。
それではまた、6月にお目にかかりましょう。
① 小鍋に水とレモンの皮の千切りを入れて、沸騰させて茹でこぼしておく
② ステンレスか琺瑯の鍋にいちごと白ワインを入れて弱火で煮る
③ グツグツしてきたら中火にしてアクを取りながら水分を飛ばしていく
④ ヘラで混ぜてなべ底が見えてきたら一気にグラニュー糖を入れる(ここまでで20~30分)
⑤ ①とレモン汁も入れてアクを取りながら煮ていく。103℃か氷水に浮かべた小さ目なボウルに少し取って冷まして、好みのとろみになればできあがり
つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。
学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。
趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。
コラム「つくばで食べる・つくる・育てる 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。
5月5日『こどもの日』に向けて、『親子苔玉教室』、『多肉植物教室』を実施しました。お父さん、お母さんとお子さんたちで予想以上の参加者数で賑わいました。小学低学年から大人まで、多岐年代に渡る参加・・・・・苔玉や多肉植物に目を輝かせ園芸作業に無心に取り組んでいる親子共同作業の姿、微笑ましく嬉しくなりました。
苔玉は、『ナギ』の苔玉作りにチャレンジしてもらいました。根部を丸く纏め上げてヤマゴケを貼って仕上げる・・・・・四苦八苦、努力していくお子達・・・・・何とか丸い苔玉が出来上がり、満足気な様子、よく頑張りましたネエ!
多肉植物の寄せ植えは、丸く植穴を掘った薩摩軽石に、『エケベリア属』や『セダム属』の植物を4~5種類を植え付けて、砂漠で緑や赤い宝石を見つけた・・・・・かの如き想いを想定した作品作りでした。多肉植物たちを組み合わせていくお子達の一心不乱の姿・・・・・素晴らしいチャレンジの程を見せてもらいました。
私は小学2年生時に多肉植物に興味を抱き、高校3年時までの間、概ね700余種を収集・栽培した体験があります。幼い頃の多くの多肉植物、サボテン類が眼に浮かびます。大学進学で長崎の実家を離れましたので、幼い頃の私の収集・栽培品は自然消滅しました。園芸の世界に身を委ねて80余歳になる今、多肉植物たちに・・・'有難う′です。
慣れない手付きで、多肉植物や苔玉にチャレンジする幼いお子達の姿に触れ、「頑張れ!」 … エールを送ります。
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について45年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。