まだ11月初旬、街中ショッピング街はすでに忙しない年末の装いが始まっています。園芸の店先では赤い実で彩られたヤブコウジ、マンリョウ、ナンテン等と共にクロマツ、ゴヨウマツなど年末・年始の植物たちも徐々に並び始めました。年始を寿ぐ植物の大様は、やっぱり松類でしょうか。クロマツ等の苔玉作りの季節が来たナァ・・・園芸愛好家も御多分に漏れずという此の頃、早速クロマツの苔玉作りにチャレンジしました。
クリスマスを彩る赤葉のポインセチアや色とりどり・艶やかなシクラメン等に比べると、地味な存在に思われる松類ではありますが、新年はやっぱり「松竹梅」が私たちの生活・習慣に根付いた植物です。中でも松はその筆頭格です、見逃すことは歴代の慣習に反します。
クロマツは樹木の王様格・見るからに威厳に満ち溢れており、苔玉制作に当たっては、それなりの忖度に及ばざるを得ません。小さな苔玉とは言え、クロマツ大王の威厳を保って、その風格を表現しなければ等々、思いを致しながら、しかし気取ることなくクロマツの苔玉にしたい・・・あえて言うならば「カジュアル盆栽」的に位置付けたい・・・そんな思いを致しながら、チャレンジしました。
クロマツだけを単体で苔玉に仕立てては、ちょっと寂しいし・・・、下草に玉リュウノヒゲを添植、更に添景物として松ポックリを配してみました。添景とした松ボックリから発芽したクロマツと見るか、はたまたクロマツから落下した松ボックリという景観と読み解いてみるか、いずれにしても「松と松ボックリ」のストーリーを思い描いてもらいたい・・・と、願いをこめました。
余談ですが、添えた松ボックリが、果たして黒松の松ボックリであるのか、ひょっとしたら赤松の松ボックリなのか?・・・、少々気になるところです。(笑)
クロマツの苔玉を作りながら、平穏なる年末であれよ、そして良き新年であれよかし、と祈りつつ・・・。
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。
こんにちは、くーこです。朝晩急に肌寒くなりましたね。これはすぐに暖房器具が必要になる予感がします。
さて、秋が来てすぐに終わってしまいそうな今日この頃ですが、実りの秋ということで我が家にもあちらこちらからいろいろ頂いております。新米は酷暑の影響であまり品質が良くないかもと言われて受け取ったものの、小粒ながら甘みもあってこの時期ならではでしたよ。我が家では新米が手に入ると鉄鍋で炊くのですが、圧力が適度にかかるのとおこげが香ばしくて本当においしいです。これをおにぎりにして、豚汁つけて新米祭りをするのですが、あっという間に無くなってしまいます。体重計が怖いです。
茨城の秋と言えば栗ですかね?笠間の栗が有名なのでこの辺のパティスリーのインスタはモンブランだらけです。パン屋さんでもモンブランのペストリーとかよく見かけますね。私はそこまで熱狂的なモンブランファンでは無いのですが、ふと「笠間の栗って食べたことないかも?」と長年茨城に住んでいてそれはどうよ?と思い食べに行ってきました。ちなみにいつも食べているのはかすみがうら市で採れたものです。結論から申し上げますと、どちらもおいしい栗です。私の普通舌では違いは判りませんでした。
とは言え、笠間は名産とうたっているだけあって、さまざまな栗料理があって楽しいです。モンブランひとつとっても、糸のように細く絞って口どけ重視のものや、砂糖を加えずに栗本来の甘みを最大限に生かしたもの、賞味期限5分!究極のモンブランっていうのもありました。笠間市のホームページに「笠間の栗もんぶらり旅マップ」というのがあるので、マップ片手に食べ歩きも楽しそうです。
この日は「道の駅かさま」内にあるLa Kuriで糸という名前の付いたモンブランケーキのfiroと昼ご飯を食べたばかりなのに栗のキッシュを食べてきました。ケーキはシーソルトが付いていてこれで栗の甘さを引き出す様です。栗を丁寧に裏ごしして和栗の香りと味がダイレクトに伝わるケーキでした。土台がないのでクリームですね。あっさりしていてぺろりといけちゃう。ただ、糖度20%は甘党の私には少し物足りなかったかな。糖度40%のカスタードが入っているのにすればよかったかも。そして栗のキッシュ…これがものすごくおいしかった!!チーズのコクと塩味が栗の素朴な甘さととても良く合う!!これを食べると言い出した夫に「よくやった!」と褒めちぎりました。私なら絶対にチョイスしないので。栗としょっぱいものって相性良いようで、ActivenoteのRicoさんは隣ブースの活龍で食べられる「純モンブラン贅沢タンタン麺」が推しらしいです。ゴマも栗もナッツ系だから絶対においしい予感しかしません!これは近々再訪しなければ。
そして先日、栗拾いに行った方からおすそ分けを頂いたので、栗のキッシュを再現してみました。お店のはタルト生地だったと思うのですが、手軽に作れるよう市販のパイ生地を空焼きしてから使っています。で、面倒くさいと思いますが、栗は洗ってジッパー袋に入れて一度冷凍してください。そうすると皮が?きやすくなるのと、栗の中に入っていた虫がこんにちはしてきますから。お店で購入したものだと大丈夫な気もするのですが、栗拾いしたものだと意外といるんです。もし栗に白い粉状のつぶつぶがついていたらそれは虫の糞なので、あらかじめ避けた方が無難ですよ。大量に皮を?くのは辛いけど、このレシピなら10粒なので、ちょっと秋の味覚を楽しむには良いと思います。ぜひ作ってみてくださいね。
☆卵 2個
☆牛乳 100ml
☆マヨネーズ 大さじ1
☆塩・胡椒 少々
② パイシートは解凍して、型に合わせて延ばし、型に敷き込み、フォークで底に穴をあけて冷蔵庫で冷やしておく
③ 薄切りにした玉ねぎとベーコンをバターで炒めて粗熱を取っておく
④ ☆をボウルで混ぜておく
⑤ ②に①と③とチーズを敷き詰めて、④を上からかける
⑥ 200℃で予熱したオーブンで30~40分焼く。
※焼き時間・温度はオーブンによって異なるので調節してくださいね。
つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。
学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。
趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。
コラム「つくばで食べる・つくる・育てる 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。
秋深まって来ると、赤、白、ピンク、紫色で園芸店を彩るシクラメンの花たち・・・単色以外に絞咲き、フリンジ咲き等々と暖かな室内に一鉢欲しくなります。最近のシクラメンは品種改良が進み、大輪大鉢仕立てのシクラメンとともに、ミニサイズで耐寒性も高く、手頃な鉢花が多く出回るようになりました。
ミニサイズのシクラメンを苔玉に仕立ててみたい、と思う心は晩秋から年末の年中行事・作業になっています。小洒落た受皿に小さなシクラメンの苔玉を誂えて手土産として持参し、友人・知人に喜ばれることしばしばです。
60余年も以前の昔々、私が大学で園芸学を学んでいた頃には、市場にはシクラメンは殆んど出回ってはいませんでした。冬休みの折、大学の花卉園芸学研究室で赤花のシクラメンを一鉢分けてもらって長崎の実家まで持ち帰り、母が大変に喜んだことが懐かしまれます。母は大事に育てて、5月中旬までシクラメンの開花を楽しんでいました。当時は重くて壊れやすい素焼きの陶器製植鉢(5号鉢:15㎝鉢)に仕立てられたシクラメンでした、九州まで列車に揺られて運ぶのは大変なことだった・・・懐かしいシクラメンの思い出です。
令和の時代のシクラメンはミニサイズに品種改良が進んでいる、また軽くて壊れにくいプラスチックの植木鉢に植えられている、更に苔玉に仕立てて楽しむことも出来ます。歌手『布施明』の囁く『シクラメンの香り』を、多くの人たちに楽しんでもらいたいと願います。カラフルで艶やかなシクラメンたちを生活の片隅に置いて頂き、心温まる年末年始を過ごして頂ければ、一塊の園芸家の端くれとしてこの上ない喜びです。
素焼きの陶器鉢に植えられた赤単色花のシクラメンを抱えて九州まで運び、母が大喜びしてくれたこと・・・時移り・・・軽いプラ鉢に植えられた艶やかな花々の開花するミニシクラメンを持ち運び気軽にプレゼントが出来る令和の時代・・・ミニシクラメンを苔玉に仕立てながら『アレコレ』思い出し、思いを致しております。
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。
こんにちは、くーこです。
今、スーパーに買い物へ行ったら、野菜がものすごく高くてびっくりして帰ってきました。たぶんですが、先週の1.5~2倍ぐらいの価格だったと思います。この夏は夏野菜が特に安かったという記憶はないのですが、それにしてもです。今になって、ゴーヤ・茄子・オクラ辺りが地場野菜売り場でお手頃に手に入る感覚ですね。よくよく見てみると、北海道から仕入れしている野菜が高騰しているようです。トマトや人参なんかがそうなのですが、そういえば、少し前のニュースで気温が高すぎて畑の人参が溶けたりと、夏に収穫する野菜の被害が甚大と映像が流れていたことを思い出しました。
実は私も8月の下旬に北海道へ行ってきたのですが異常な暑さで、お盆に帰省した友人からは「夜は寒いし、雨降ると肌寒く感じるから長袖は絶対に必要だよ」と言われて荷物に入れていた長袖が、結局最終日までスーツケースから出すことなく終わってしまいました。どれくらい暑かったかというと、サッポロビール園でジンギスカンを食べていた時に、隣のテーブルのおじさまが「暑すぎる!!」と突然脱ぎ始めランニングシャツとエプロンという素敵な格好になってしまうぐらいと言えば伝わりますか?伝わらない??この次の日には北海道初の全道熱中症警戒アラートが発令されたと言えば分かってもらえるでしょうか。
滞在していた3日間が全てこんな気温で、楽しみにしていた旭山動物園では開園直後から暑すぎて動物が木陰から出てこなかったり、お目当てのシロクマはたぶんプールの水温が高くて入りたくなかったのか、お風呂の湯加減を確かめるお母さんみたいにパシャパシャ手を入れてだるそうに遊んでいるだけでした。結局泳ぐシロクマは見ることができず、子供たちが熱中症になりそうだったので午前中で切り上げることになったのですが、北に生息する動物が多いのでこうなってしまうのは仕方ないですね。近いうちにリベンジしたいと思っています。
そんな訳で旭山動物園に使う予定の時間が空いてしまったので、札幌へ向かうまでの高速道路の途中にある「砂川ハイウェイオアシス」に寄ることにしました。ここはこどもの国やキャンプ場などがあり、屋内で遊べる施設もあります。中のレストランでは北海道の名物が一通り揃っていて、しかもどれもおいしい!おなか一杯になったところで子ども達は遊びに行き、大人は買い物へ。お土産屋さんの他にも直産マーケットもあり、私はそっちで買い物しましたよ。お肉やお魚も置いてあったり、北海道のハスカップは冷凍にされて売っていました。あれもこれもと欲しいものがありすぎて、迷いすぎて、逆に全く買えませんでした…そんなことありませんか?
ただ、これは!!というものを見つけました。それは、ポップコーンです。出来上がっているものではなく、炒る前の乾燥しているトウモロコシです。しかも、マッシュルーム型のなんです!スーパーでよく見かけるのはバタフライ型と言われるものなのですが、こちらのマッシュルーム型、私はネット通販でしか見たことがないです。マッシュルーム型はキャラメルとかソース系に絡めるタイプと相性が良いそうで、逆にフレーバーミックスの様な粉状にはバタフライ型が合うと言われています。高級ポップコーンの「ギャレットポップコーン」では両方をブレンドして使っているそうですよ。これはもう買うしかない!しかもかさばらないし!!(LCC利用だったので荷物重くしたくないから、これ大事)それにとっても安くて、本当にこの値段でいいんです
か?と思ってしまいました。ええ、5袋購入しましたよ。
家に帰ってから早速作ってみたのですが、意外と難しいことが分かりました。丸くならないのです。いろいろ調べて、フライパンを高温に熱しておいてから油でコーティングしておいたコーンを入れて作ると割と丸く仕上がります。きっとポップコーンメーカーだともっと上手に作れるのでしょうね。味ですが、風味がとても良くてもっと買ってくればよかったかも。今回は「映画館のよりおいしい!」と我が家でだけ評判のキャラメルポップコーンを作りました。たっぷりまぶさっているのが好きなので、キャラメル多めです。写真ではバタフライ型の塩バター味とのハーフ&ハーフにしました。甘い、しょっぱい、甘い、しょっぱい…のエンドレスループで手が止まらない危険なおやつですが、よかったら作ってみてくださいね。
それでは、また10月にお目にかかりましょう。
☆グラニュー糖 50g
☆有塩バター 15g
☆牛乳 大さじ1
つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。
学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。
趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。
コラム「つくばで食べる・つくる・育てる 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。
「苔玉」を作って45余年にもなります。この間、「ガジュマル」の苔玉は他の植物たちに抜きん出て人気を持ち続けております。「ガジュマル」という和名は、沖縄の地方名ですが、その由来は明確ではありません。垂れ下がった気根は、徐々に土台や自分の幹に複雑にからみつき、派手な姿になっていきます。捩じれたりトンネル状の奇妙な樹形を作ったり、その変幻自在に成長した樹形が喜ばれていると思われます。しかも、ガジュマルは常緑広葉樹であることから、四季を通じて濃緑の革質でやや厚い楕円形または卵形の葉を楽しむことが出来ます。
ガジュマルの花言葉は「健康」とされて、別名「多幸の木」と呼ばれます。「ガジュマル」の名の由来は、こうした幹や気根の様子である「絡まる」姿が訛ったといわれています。気根は出初めはごく細いが、太くなれば幹のように樹皮が発達します。地面に達すれば幹と区別が付かなくなります。また、成長した気根は地面の舗装に使われているアスファルトやコンクリートなどを突き破る威力があります。こうした過程で、土台となる木は枯れていきます(ガジュマルはいわゆる「絞め殺しの木」の一種での由縁です)。観賞用として、中の枯れた木部を取り除いて空洞状にした木も販売されています。イチジクのような小さな花がつきます。
大学で園芸学を学んだ私でしたが、「ガジュマル」という樹木を知ったのは社会人になってからのことでした。「ガジュマル・・・?!」その名称だけは聞いてはいましたが、「面白い名前の植物があるんだナァ?・・・」、程度の認識でしかありませんでした。職務で東京都八丈島に出張の折「面白い木があるもんだナァ!・・・」これがガジュマル君との出会いでした。
「苔玉」が私の生業に位置付けられてきた中で、ガジュマル君は私の生活の中に大きく幅を利かせて頑張っております。正に「多幸の木、ガジュマル」となりました。牧野富太郎博士の仰る如く、もっともっと多くの植物たちに親しまなければと思いを致す次第です。
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。