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【苔玉に寄せて】Vol.85~苔玉仙人になっちゃった!

苔玉仙人になっちゃった!

 歳の初め一月末以来、仙台市、都区内、京都市、新潟市、そしてまた仙台市と園芸を語って歩き回り、多忙を極めました。
為に散髪に行くことままならない有様で、白髪交じりの髪を伸びっ放しで苔玉を語っていた次第、昨日、仙台市内の園芸屋さんで苔玉論議を交わしていたところ、とうとう「苔玉仙人」の如し、と言われてしまったことでした。

 一月末、仙台市でユキツバキの苔玉作りに始まりまして、都区内ではクロマツ等のマツ類、京都市では苔玉をメインに据えた超ミニ庭園に及ぶ打ち合わせ、そしてまた仙台市では白花の開花した常緑クレマチスの吊苔玉で園芸店舗空間を賑わし・・・・・等々、枝は切っても髪を切る間のない状況・・・・・白髪の伸びた「苔玉仙人の如し」と揶揄されて、やっと散髪・身嗜みの必要性を認識したことでした。

 歳のはじめから、かくも多くの方々に「苔玉」を愛でて頂いたこと、深く感謝しています。寒さ厳しいにもかかわらず、赤、白、ピンク色の各種の「雪椿」を苔玉に創っていく過程で、多くの仙台市の方々の嬉しそうなお顔に触れることが出来ました。

 京都市では大・中・小の各種植物の苔玉を組み合わせて、超ミニ庭園(寸庭)を構築していくことに、新たな想い・知恵・技能の有り様を語り合いました。

 そしてまた仙台市では、寒さ厳しい園芸ハウスの天井下・空間に、少しでも暖かい彩りを添えたいとの思いから、白花の常緑クレマチス、黄花のカロライナジャスミン等を、吊り仕立ての苔玉に仕立て、園芸大好きなお客様たちに喜んで頂きました。

 戸外を歩くことの憚られる厳冬期です。赤い雪椿の蕾、黄色や白い花たちを咲かせてくれる小さな「苔玉」を通して春よ来い♪、早く来い♪ おんもヘ出たい待っているミヨちゃんの願いを叶えて上げたい「苔玉仙人」です。

黄花のカロライナジャスミン

 

執筆者紹介 –  S.Miyauchiさん

日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。

 コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。

つくばで食べる・つくる・育てる Vol.36『チョコレート』

つくばで食べる・つくる・育てる
1月のテーマ「チョコレート」

 

こんにちは、くーこです。今年もよろしくお願いします。

 お正月を過ぎて、気がつけばショッピングセンターやスーパーにはバレンタインデーの特設会場ができていました。大手デパートではパリ発祥のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」も始まっていて、今年も新規ブランドが10店舗以上入っているそうです。産地にこだわったビーントゥバーチョコレートからショコラティエが趣向を凝らしたボンボン・オ・ショコラまで、パッケージも趣向が凝らされていて、ただ見ていても楽しいですね。

 

 

 さて、皆さんはチョコレートが何からできているかご存知ですか?カカオ豆というのは知っていますよね。カカオは熱帯に生えるアオギリ科の常緑樹で季節に関係なく一年通して次々と実をつける植物です。厚くて硬い果皮に包まれた果実(カカオポッド)をつけ、それを割ると白い果肉に包まれた種が30~50粒程入っていて、これを発酵と焙炒をすることでカカオ豆になります。1個のカカオポッドからだいたい板チョコ2枚程作ることができるそうです。

 何日もかけて作られたカカオ豆と砂糖を加えればシンプルなチョコレートができあがります。と、こう聞くと簡単そうに思いますよね?私もそう思いました。それで、ビーントゥバーキットを買って作ってみたのですが、湯煎したすり鉢でひたすら豆と砂糖をすりすりすること3時間…腕はパンパンで泣きそうになりました。最初はノリノリだった息子はわずか10分で脱落です。できあがったものを食べても「なんか舌触りがザラザラ…」とがっかりな結果に。味自体は良いのですが、労力と合わない…それもそのはず、メーカーさんは電動石臼で1~3日かけてペーストにするそうです。これは安易に手を出してはいけないやつとその時に悟りました。おいしいチョコレートを作ってくれるメーカーさんには感謝感謝です。

 

 

 今回は市販のチョコレートを使ってフルーツ生チョコを作りたいと思います。フルーツとチョコレートの組み合わせって大好きです。酸味があるフルーツは相性抜群ですが、今回は知人手作りの干し柿があったのでそれとラム酒を加えて、和のテイスト漂うまったりとした大人味に仕上げますよ。干し柿は糖度が高いので、今回は70%の高カカオのものを使っています。プラムやアプリコットなどはスイートチョコがおすすめですね。生チョコをおいしく作るコツは2つ、バターを常温に戻すことと、湯煎でていねいに作ること、それだけです。その昔、パン屋でバイトをしていた時にどのチョコレートを使っても上手くバレンタインデー用のチョコレートが作れない女子中学生がお店に来たことがありました。パンの2次加工に使っていたチョコレートが艶々だったので少し売ってほしいと。お店の材料を売ることはできないので、いろいろ話を聞いてみると電子レンジでチンしていたんですよね。適当にレンジにかけると水分が蒸発しやすくて焦げやすいとか、テンパリングしていないから固めた時に艶が無くて白っぽい粉がふいたようになっちゃいます。実際、お店でも湯煎していましたしね。その女の子たちは板チョコとココアや粉糖でごまかせる簡単トリュフの作り方を教えるとお礼を言って帰っていきましたが、うまくできたのでしょうか。

 

 

 それから20年以上経ち、いつの時代もがんばる女の子はかわいいなぁと、その時の女子中学生や売場であれこれ考えている女の子たちを見てこっそり応援する私なのでした。

 

 

≪干し柿の生チョコ≫

【材料】(13cm×18cmの容器1台分)
・製菓用チョコレート 140g 
・干し柿 80g 
・生クリーム 50g 
・はちみつ 10g 
・無塩バター 30g  
・ラム酒 小さじ2 
・粉糖かココアパウダー 適量

【作り方】
① 干し柿をぬるま湯で10分漬けて、水気をよく拭き取ってから1cmくらいに刻む

② 刻んだチョコレートを湯煎で溶かす

③ 生クリームとはちみつを耐熱容器に入れて、レンジで温めて2に入れる

④ ゴムベラでよく混ぜたらラム酒と常温に戻して柔らかくしたバターを入れて混ぜる

⑤ ④に干し柿を入れてまぜ、オーブンシートを敷いた容器に入れたら冷蔵庫で固める

⑥ 固まったら好きな大きさに切って、粉糖かココアパウダーを振りかける

 

 

 


執筆者紹介:  くーこ さん

つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。

学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。

趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。

 コラム「つくばで食べる・つくる・育てる 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。

【苔玉に寄せて】Vol.84~幹、枝を曲げ捻る樹形造り

幹、枝を曲げ捻る樹形造り

 昨年末から新春にかけて多くの松の苔玉を作成しました。クロマツ、アカマツ、ゴヨウマツ等でした。植物の本性・向日性の故に、若いマツは素直に真っすぐ上に伸びた樹形で育ち、鑑賞するには面白味がありません。私たちの住む日本列島は、アジアモンスーン地帯に位置しているので海岸風が強く吹き付け、クロマツの樹形は風に押されて幹も枝も曲がってしまいます。この曲がったクロマツを故人たちは「磯慣れ松(そなれまつ)」と言って、慣れ親しんできました。風に煽られて曲がった松の生育する環境の中で生きてきた私たち日本人に、「磯慣れ松」という自然が心のどこかに映像化されてきたのかもしれません。

 風に煽られ磯部に力強く張り付いて生きる松・・・・・を盆景の中に描くために、枝振りに変化を付けて面白みを演出する必要に迫られました。ために、幹や枝部分に園芸用のアルミ線を螺旋状に巻き付け、右・左に、更にスパイラル状にと、自在に枝振りを作るようになりました。

 真っすぐに幹の伸びた樹形を「直幹」と言います。穏やかな地中海型気候のイタリアや南仏に育つ松は「直幹」型に育っています。直幹樹形の松は、それなりに良さもありますが、私たちは風に煽れるアジアモンスーン地帯が育ち慣れ親しんだ環境の故か、マツは主幹や枝の細い部位を曲げたり捻ったりと、自在に変化を付けたくなってしまいます。この年末年始に作成したマツ類の苔玉の殆んどに、園芸用アルミ線で曲げ・捻り等を加えて「松の苔玉」に仕立てたのでした。

 クロマツ、アカマツ、ゴヨウマツ等の苔玉に限らず、過去に制作した苔玉たちにも、園芸用アルミ線等を使って主幹・枝振りに変化を付けてきました。オリーブ、コナラ等の雑木類、シマトネリコ、ツバキやサザンカ類、ナナカマド、ムラサキシキブ、モミジ類、等々の苔玉作成がそうでありました。

枝や幹を曲げたり捻ったり・・・・・植物達には甚だ迷惑千万なことは百も承知、でも私たちの生活環境に合わせて我慢してもらうしかありません。

 

執筆者紹介 –  S.Miyauchiさん

日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。

 コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。

新年のご挨拶 2023

明けましておめでとうございます。

昨年は大変お世話になりました。おかげさまでActiveNote は8周年を迎えることができました。
日頃より応援をしてくださる皆様に心より感謝申し上げます。

昨年は、戦争が起こったり、急激な物価の上昇や、新型コロナが再び拡がったりと、色々なことがありました。
そのために大変な思いをしている方々がたくさんいらっしゃると思います。

今年は少しでも良い年になりますように、心よりお祈りしております。

皆様のおかげで、緑の苔玉は例年通りの人気をいただき、感謝に堪えません。
一方、物価上昇や苔不足などで、乗り越えることができない課題もいくつかありました…。

ActiveNoteのロゴは、ナンテンの苔玉をモチーフにし「難を転ずる」という願いが込められています。
そして一枚一枚の葉に「愛」「勇気」「日々の糧」を大切にしたいという願いが込められています。
それらの願いを胸に、今年は一歩一歩無理をせず、状況にあらがわず落ち着いて歩んでいきたいと考えております。

これからも ActiveNote へのご愛顧をよろしくお願い申し上げます。

2023年 元旦  ActiveNoteスタッフ一同

つくばで食べる・つくる・育てる Vol.35『山ぶどうでパンを焼いてみる』

つくばで食べる・つくる・育てる
12月のテーマ「山ぶどうでパンを焼いてみる」

 こんにちは、くーこです。

 先月のコラムで山ブドウを使って酵母を起こしたと書きましたが、今回はその酵母を使ってパンを焼いてみたお話をしようと思います。なんとか酵母ができたら、次は種起しと言う作業をします。家庭用レシピでよく見る材料をいっきに混ぜて作る方法をストレート法と言うのですが、天然酵母液を直接使うと生地が安定しないそうなので、あらかじめ天然酵母液と小麦粉を混ぜて発酵させて寝かしての作業を3回ほど繰り返してできる元種を作っておきます。配合はいろいろあるのですが、天然酵母を使ったレシピが少ないので手持ちのレシピを使えるように酵母液(水):粉=1:1にしています。粉は灰分が多い全粒粉を使います。普通の強力粉も使えますが、灰分(ミネラル)が入っている方が安定して発酵するそうですよ。2回目と3回目は酵母液ではなく水を入れますが、今回は発酵が弱そうだったので今回は3回とも酵母液を加えました。1日目は酵母液と全粒粉を40gずつ密閉容器に入れてよく混ぜ6~12時間常温で発酵後半日冷蔵庫、2日目と3日目は水と全粒粉を30gずつ追加して入れてよく混ぜ6~12時間常温で発酵後半日冷蔵庫と繰り返します。今の時期だとなかなか発酵し辛いので、ホームベーカリーやヨーグルトメーカーがあるとやりやすいですね。

 

 

 ここまでで、パンを作ろうと思いついてから1週間です。ようやくパン生地を作ります。今回はカンパーニュと角食パンを焼きました。今回はちょっと発酵力が弱そうだったので、粉の量に対して元種を40%加えてあります。なので、元レシピの分量から40%分の粉と水分を引いておく必要があります。作ったカンパーニュを例に挙げると、強力粉とリスドオルを合わせると200g必要なのですが、200gの40%は80gで1:1の液体と粉の比率なのでそれぞれ40gずつ引くってことですね。粉は160g、水は98g必要なところを58gにします。ここで1:1にした意味が出てきます。計算が簡単なので、手持ちのレシピに応用しやすいのです。

 

 

 あとは普通のパンと作り方は一緒です。発酵時間が倍以上かかること以外は。1次発酵は4時間前後、2次発酵は2時間程かかっています。なので、時間がないときに作ることはできないと感じました。試しに夜長時間発酵にチャレンジしたら、過発酵な生地になってしまい、泣く泣くピザ生地やラスクになったことも…プロでもあまりやりたがらない理由が分かります。本当に難しい!!角食パンは3回作って2回失敗でした。リーンなカンパーニュの方が作りやすい気がします。こちらは失敗なし。家庭用オーブンでカンパーニュを焼くのは難しいのですが、お友達から蓋つきの鉄鍋を使った焼き方を教えてもらい、やってみたら上手く蒸気が入ってパリパリの皮ができました。これ食べると自分でまたつくりたくなるのだから不思議なんですよね。作っている時にはもうやらない…と思うのですが。こうやって人は沼にはまっていくようです。もしかしたらこの後も別の果物で酵母液を作ってパンを焼くかもしれません。手を出してはいけないものに手を出してしまった気分の私なのでした。

 

 


執筆者紹介:  くーこ さん

つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。

学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。

趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。

 コラム「つくばで食べる・つくる・育てる 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。