Posts in Category: コラム

【苔玉に寄せて】Vol.49~暮らしを彩る苔玉

暮らしを彩る苔玉

 暮らしを彩る器展「テーブルウェア・フェスティバル」が、2月10日まで東京ドームで開催されており、久し振りに行ってみました。会場で「インテリアとしての苔玉作りと器」と題したセミナーが開かれていました。

 1993年以来28余年間続いているこのフェスティバルに、やっと「苔玉」が登壇したんですね。陶磁器、硝子器、木製、竹製の器、漆器、鉄を始めとする金属器、柔らかな布製品等生活用品の展示の中に、命ある植物「苔玉」が彩りを添えているかのようでした。心秘かに、嬉しくなってしまいました。

 茶碗、皿そして箸など、毎日の生活を維持していくのに絶対に必要なこれらテーブル上の調度品です。生活そのものが豊かになってきた今、毎日使うテーブルウェアにも、心をも豊かにしてくれるモノが求められているのでしょう。機能的な美しさに始まって、材質感、色合い、形状美、肌触りと、より良いモノが求められ、巧たちの素朴さ、繊細さ、人としての優しさ等といった心伝わる生活用品が多く並べられていました。そんな消費者の拘りにも似たテーブルウェア展の片隅に、「苔玉」も登場していたんです。

 街中を歩いてみると、喫茶店、和食の店、旅先の宿の一角等、苔玉を配している姿を見かけることも多々あるようになりました。洋の東西を問わず、テーブルセッティングは益々生活に密着して洗練され、磨き上げられていくことでしょう。テーブルウェアとしての「苔玉」も、植物の多様性・形状・四季折々の季節感・人としての優しさ等と、磨き上げ、洗練されていかなければならないと思いを致したことでした。
生活する人たちの、磨き上げられ洗練された拘りに学び、園芸プロとしての技を出し切って、「苔玉」をクール(文化)に伸ばしていきたいと、苔玉を作り始めて35余年になる今、考えたことでした。

 

 

執筆者紹介 –  S.Miyauchiさん

日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。

 コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。

つくばで食べる・つくる・育てる Vol.1 『レンコンの肉まん』

 こんにちは、モスカフェ店員改め、つくば市住民のくーこです。

 今月から新連載を始めることになり、カフェから抜け出して、日々の暮らしで紹介したいもの(時々レシピ)を書いていこうと思います。

 

             

 

 私の住んでいるつくば市は魅力度ワースト1を7年連続更新し続ける茨城県南部に位置するのですが、意外と暮らしやすいと思うのですよ。そして、地味に日本一のものが多かったりします。野菜だと、ピーマン・白菜・チンゲンサイ等々が出荷量日本一で、今の時期おいしいレンコンも入っています。

 作っている場所は、日本で2番目に大きい湖の霞ケ浦周辺で、ぷっくり色白で柔らかく甘味があるのが特徴です。霞ケ浦に面している土浦市ではこのレンコンを特産としていて、公式ゆるキャラの「つちまる」もレンコンモチーフだし、私の大好きな「れんこん麺」や「れんこんサブレ」などの加工品も多くあります。土浦市に住む友人が言うには、給食ではいろいろな料理に入っているらしく、肉まんにも入れるとのことでした。

 「肉まんにレンコン?」どうやら、タケノコの代わりに入れるらしいです。肉まん大好きなこの私。作るしかない!ということで、さっそく作ってみました。先に炒めて、下味付けて、冷まして…おぉ!!シャキシャキして、ほのかな甘みもあってすごくおいしい!息子はたけのこのえぐみが無い分、レンコン入りの方が断然好き!と言っていました。

 ほかにも、近所のパン屋さんにはレンコンサラダのサンドとかもあって、和洋中と相性が良い野菜なんです。しかも、ビタミンCも多く(しかもデンプン作用で熱に強い)、ポリフェノールの抗酸化作用で風邪の予防や咳の緩和に期待できるらしいので、この時期に積極的に取りたい野菜ですね。さーて、今日は豚汁にレンコン入れようかな。

             

 

 レンコンの肉まん
材料(9個分)

☆ 肉まんの皮 ☆

・薄力粉 250g 
・強力粉 50g 
・砂糖 40g 
・塩 3g 
・水 100ml
・牛乳 50ml 
・ベーキングパウダー 10g 
・ドライイースト 3g
・サラダオイル 大さじ 
  *水+牛乳は人肌に温めておく

☆ 肉まんの具 ☆

・豚ひき肉 300g 
・レンコン 90g 
・玉ねぎ 1/2個 
・長ネギ 1/2本 
・椎茸 2枚 
・生姜 ひとかけ 


・オイスターソース 小さじ1 
・しょうゆ 小さじ1 
・こしょう 適量 


・水 大さじ2 
・酒 大さじ1 
・鶏がらスープの素 小さじ1 
・醤油 大さじ1 
・オイスターソース 大さじ1 
・砂糖 大さじ1 
・片栗粉 小さじ1 

・ごま油 大さじ1

作り方

① ホームベーカリーに皮の材料を全部投入して、生地モードで1次発酵までしてもらう。

② フライパンにごま油、千切りにした生姜を入れ中火にかけ、香りが出てきたら荒みじん切りにした玉ねぎ・レンコンを入れ、玉ねぎに火が通ったらひき肉100g分を分量から取って入れ炒める。(こうすると、蒸した時に皮の中で団子にならない)

③ ②にAを入れて味付けしたら、冷ましておく。

④ ボウルに③とみじん切りにした長ネギと椎茸・ひき肉200g、調味料Bをいれてよく混ぜる。

⑤ ①を9等分に分けて軽く丸め、濡れふきんをかけて10分置く。

⑥ ⑤麺棒で円形にのばして、具を適量のせて包み(山盛り大さじ1ぐらい)、カットしたクッキングシートにのせておく。
皮の底になる部分は少し厚めにのばすと、水分が染みない。

⑦ ⑥に濡れふきんをかけて30分休ませたら、沸騰している蒸し器に入れて15~20分 強火で蒸して出来上がり。

 

 蓮根(レンコン)

 蓮根と書くが、食べている部分は地下茎と言われる茎。じゃがいもと同じ。れんこんの穴は水を通すものではなく、空気を通す気孔が発達したもの。泥や水に含まれる栄養素などを吸収しながら成長するため、ビタミンC・B6、食物繊維、レクチンなどを豊富に含んでいる。ちなみに、似た花の咲く「スイレン」など「蓮」がついていても、観賞用のものは食べられない。

             

執筆者紹介:  くーこ さん

つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。

学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。

趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。

 コラム「つくばで食べる・つくる・育てる 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。

 

【苔玉に寄せて】Vol.48~植物との対話

植物との対話

 苔玉を作り始めて35余年、この間に苔玉に仕立てた植物の種類は1200種類にもなりました。

 一株の草や木と対峙して、「さて、この植物、どのように仕立てたものか」と、悩みながら楽しみながら植物たちと対話し続けてきました。日を重ねるにつれ、拘りは深くなり、悩み・楽しみは増すばかりです。

苔玉ラボ

 「この植物は、果たして苔玉にして映えるのだろうか?」に始まって、「成長速度は苔玉に適しているのか?」、「耐寒性、耐陰性はどうなのか?」、「常緑性か、落葉樹なのか?」、「開花期はいつになるのか、そして花色はどんな色なのか?」、「下草を付けるとしたら何がいいのか?」、よって「苔玉として鑑賞する最適の季節はいつになるのか?」そして、肝心な「苔はどんな種類の苔を選択すべきか?」等々の自然条件。
 更に「枝振りはどうしたものか、木表・木裏の見定めに見誤りはないか?」、「枝振りを整えるために、園芸用アルミ線を掛けてもいいのだろうか?」、「新年は松・竹・梅あるいはマンリョウ、ヤブコウジなどの実物植物といった季節感」、等の人為的な条件の確認。

 結果として「多くの人たちにガーデニングの一環として苔玉を楽しんで頂きたい」、更には「モス・アートの域にまで高め、多くの人たちに愛でて頂きたい」。
 そんなこんなの悩み・楽しみを抱きつつ、植物を見つめ対話を重ねて苔玉植物を選択しています。間もなく節分です、魔除けのヒイラギの苔玉です。そして愛の告白のバレンタインデーには深紅のミニチュアローズ、雛祭りには花桃の苔玉を準備します。

 

 私が園芸に興味を抱いたのが若干5歳の頃、敗戦後間もない昭和23~24年、長崎市でのことでした。大学時代には花卉園芸学を専攻し、今日に至っております。それでも、僅かに70余年のガーデニングライフに過ぎません。令和2年の新年に当たり、これからも更に多くの植物たちと相見え、対話を重ねていきたいと思っております。

 

 

執筆者紹介 –  S.Miyauchiさん

日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。

 コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。

【おうち Moss Café – 果実とその花 編】Vol.47 金柑の甘露煮・金柑の花

1月のおすすめ
「金柑の甘露煮・金柑の花」

もしも Active Note がカフェをオープンしたら…
そんな空想をちょっとだけ形にしてみました。
毎月おすすめの緑と、テーマに合わせたカフェレシピを紹介していきたいと思います。

                       

こんにちは、店員くーこです。

 年末になるこの時期に毎年作るもの。それは金柑の甘露煮です。

 以前、友人宅のお庭に金柑の木があって、そのまま食べるのはイマイチなので何かこれで作ってほしいと言われ、おせち料理に入れられるように作ったのが始まりです。

 最初は丸ごと煮ていたのですが、金柑て種がとっても多いのです。体積の半分が種なのではないかと思うほど。なので、切り筋を入れて潰しながら取ったりしていたものの、あまりの量の多さにイライラしてしまい、横半分に切って種を出す方法にチェンジ。簡単だし、味も全く変わらず、お重の中に入れても座りが良いので、我が家ではずっと半球体です。

 もっとも、金柑はあまり関東では積極的に食べられる果物ではないようで、友人に甘露煮をおすそ分けしたところ、「鹿児島に住んでいた祖母の味にそっくり。久しぶりに食べて鹿児島のこと思いだしたよ。関東ではあまり見かけないよね」とのこと。九州の方では良く食べるそうなのです。

 こちらではスーパーに行けば、宮崎産の「たまたま金柑」とか売っていますが、結構なお値段なので、なかなか手が出ないのかもしれません。これは丸ごと生食してもとてもおいしいのですが、みかんの方がお安い…名前の通り、美味しい金柑が「時々(たまたま)しか」取れないのだから仕方ありません。ビタミンPも豊富で、健康維持にはぴったりな果物なのですけれど。

 小さな金柑は600g500円前後で売られているので、見かけたら試しに煮てみたらいかがでしょうか。実はそのまま食べても、お菓子作りに使っても良し。シロップはお湯に溶かしていただくと、体も温まりますよ。
 

             

 

 

             

 

 金柑の甘露煮
材料(200cc瓶3本分)

*種を取った金柑 650g
*グラニュー糖 300g  
*蜂蜜 20g

作り方

① 金柑を横半分に切り、種を取り、鍋にいれたら、たっぷりの水を入れて煮る。

② 沸騰して1分経ったら、ざるにあけ、水に10分程さらして灰汁を抜く。

③ ②を鍋に戻し、ひたひたの水を入れて、砂糖と蜂蜜を加え、クッキングシートで落とし蓋をして弱火で40分煮る。

④ そのまま冷まして一晩置く。

⑤ 翌日、④を弱火にかけて、実が柔らかくなって、シロップにとろみがついたら、熱いうちに殺菌した瓶に詰めて、できあがり。

 

             

 金柑の花

育てやすさ: ★★

 みかんの木に似ているが、葉はみかんより小さい。7月から8月にかけて小さな白い花が咲く常緑低木で、耐寒性もあるため家庭でも育てやすい。金柑には観賞用と食用に種類が分けられるため、苗木購入の際にはお気を付けを!

花言葉は 「思い出」「感謝」

 

執筆者紹介:  くーこ さん

つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。

学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。

趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。

 コラム「 おうち Moss Café 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。

 

【苔玉に寄せて】Vol.47~苔玉からモス・アートの高みへ/発想は素人、実行は玄人

苔玉からモス・アートの高みへ
発想は素人、実行は玄人

  ここ10有余年、苔玉園芸の人気が高まってまいりました。私も多くの店舗や公共施設での苔玉教室やら苔玉ワークショップを、全国各地で開催することが多くなりました。多くの方々が苔玉を通して園芸に興味をもって頂き、嬉しいことです。

  そうした中で、素人と思しき人たちから無理と思われるいろいろな要望が出てきます。「水を遣らなくても枯れない苔玉はないのだろうか」、「指先に乗る程の小さな苔玉を作りたい」、「季節外れの花を咲かせたい」等々と、無理難題を多々提起されます。

  「そんな無茶な!」とぼやきつつも、神様であるお客様の言い分に耳を傾け、解決してきました。素人さんたちの言う無理を、一つ一つ実行・具現化していくのが玄人と呼ばれる由縁なのかもしれません。プロフェッショナルであるという仮面を被って、素人たちの言い分を馬鹿げたことと耳を貸さないのは、玄人の勝手気ままに過ぎないのかもしれません。素人さんたちの仰る無理難題にこそ園芸生活の更なる発展の要素が多く含まれているのかもしれません。

  「発想素人、実行玄人」なんですネェ。多くの人たちの要望に耳を傾け、人々の生活空間にモス・アートとしての苔玉園芸を、更なる高みに位置付けて行きたいと願っております。

  私は大学で園芸学科に在籍し、花卉園芸学教室に学び、少なからず園芸のプロフェッショナルの端くれの一人だと、自負しておりました(大して勉学に勤しんだ訳ではありません)。大学卒業後、園芸に関わる職務に就いて53余年を経過しました。でも、そんなことよりも大事なことは、消費生活者の仰ることに耳を傾け、更なる進化を目指さなければならないと考える此の頃です。

 

 

執筆者紹介 –  S.Miyauchiさん

日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。 つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。

 コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。