マツの代表格は通称「雄松」と呼ばれるクロマツですが、「雌松」と呼ばれるアカマツ、形の端正に纏まったゴヨウマツ等があります。新春を寿ぐマツの苔玉や盆栽・盆景には「クロマツ」が使われることが多いようです。
正月はとっくに終わりました。
当の苔玉仕立てのクロマツをそのまま部屋の片隅に放置していませんか。戸外では寒いだろうと室内に置きっ放しにしたために、早々に新芽が動き伸び始め、その雄々しい姿を喜んでいたのも束の間、いつの間にか長く軟らかく徒長したクロマツになってしまい、節間が間延びして、当初の樹形とは似ても似つかぬ哀れな形の崩れた樹形となり、がっかりしていませんか。
本来、マツは寒さに強い植物です。寒風にさらし、剛健かつ凶刃に育てなければなりません。
室内で軟弱な温室育ちにしてしまっては、ダメにしてしまいます。
寒風にさらし強面に育てた上で、たくましい新芽が出る時期4月下旬~5月上旬には、間延びして育った強い枝は切除し、周囲のか弱い枝の方の頂芽を痛めつけて伸ばす「マツの緑摘み」作業を施して、樹形を整えていかなければなりません。
新年、マツの苔玉を寿ぎましたら、苔玉本体の凍結を避けながら、寒風吹きすさぶ戸外に出して頂いて構いません。
かわいい子には厳しい冬を乗り切る力をつけてやってこそ、本来のマツに対する愛情に他なりません。
苔玉部分の乾燥、とりわけ、夏場のマツ全体の根部の乾燥による痛みも心配されます。その場合は、一端苔玉をバラしてしまい、鉢植にする方がベターかもしれません。そして固形油粕等を施肥しておき、立派な新芽の萌芽を促し、次の年末に再度苔玉仕立てにしてお楽しみ頂いてもいいのではないでしょうか。
四季の変化に富む日本列島で、園芸植物を維持管理するに当たっては、寒さ暑さや乾燥・湿度等、上手に乗り切る工夫が必要になり、場所それぞれ人それぞれに、変わっていて当然です。
マツと限らず、古木になるにつれて根部が肥大し、地表面に現れてきます。この姿を「根上がりの松」といって、その古木風情を楽しむといいでしょう。緑の苔の丘に、盛り上がった黒褐色のマツの根部、この風情こそがマツの盆景の魅力にほかなりません。
苔玉仕立てのマツの根元の苔部分が広くて、少々もの寂しいと感じられる方もいらっしゃるでしょう。その場合は、広く感じる緑の苔部分に割箸等で穴をこじ開けて、その穴にラン科植物「トキソウ」の球根等を添えて、楽しまれたらいいと思います。あるいは、上手くいくようでしたら「ツクシンボ」などを植えて、お楽しみになるのも一興です。
今年の冬は寒い! 山々は雪に埋まり、山採りコケの採取は大変です。でも、深く積もった雪の下で緑のコケは元気に春を待っています。
春が楽しみです。

日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。
つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。
もしも Active Note がカフェをオープンしたら…
そんな空想をちょっとだけ形にしてみました。
毎月おすすめの緑と、テーマに合わせたカフェレシピを紹介していきたいと思います。
こんにちは、店員くーこです。
年明けしてから、とても寒い日が続いていますね。
寒いのが大の苦手な私ですが、昔から2月のヴェネツィアで行われるカーニバルには死ぬまでに一度は行ってみたいと思っています。たとえ、日本より寒くても!です。
カーニバルと言えば、ブラジルのリオのカーニバルが有名ですが、ヴェネツィアのカーニバルはエネルギッシュというよりはエレガントなお祭りです。元々はキリスト教の「四旬節」(いわゆる断食)を迎える前のお祭りだったようですが、いつからか仮面とマントを身にまとい、身分関係なく楽しむようになったそうです。
今年は本祭りが2月3日から10日間行われるようですが、その間のヴェネツィアはまるで中世にタイムスリップしたようになります。
レンタルで衣装を借りると、ティーパーティーや仮面舞踏会にも参加できるようなのですが、フルセットだとだいたい10万円以上するそうなので、宝くじでも当たらない限りは無理そうです。それなら、仮面を購入してカンパニーレやドゥカーレ宮殿などを観光し、一番にぎわうあのナポレオンが「世界で一番美しい広場」と絶賛したサンマルコ広場に行き、カフェラテ発祥の地である「カフェ・フローリアン」で18世紀当時の空気を味わってみたいですね。
ロココな内装で、カフェラテと名物のティラミスを嗜みつつ、この店の常連だった稀代の女ったらしで有名な作家カサノヴァが女性を口説いていたところを妄想しても楽しそうです。いつになったら行けるのでしょうか…手始めに、宝くじ買ってきます!
ということで、今回のスイーツは日本人も大好きティラミスです。
私が小学生の頃に、爆発的ブームがきましたが、ブームが去った今日でも根強い人気があります。
作り方は簡単で、好みの味にカスタマイズすることもできるのがティラミスの良いところだと思います。
私のレシピはふわっと軽い食感です。これはメレンゲを入れているからなのですが、もっとコクが欲しいときは、メレンゲを抜いて卵黄を1個足してみてください。
コーヒーを染み込ませたビスキュイではなく、スライスしたフルーツをサンドしてもおいしいですよ。

◇:生クリーム 200㏄
◇:グラニュー糖 20g
□:卵白 1個
□:グラニュー糖 10g
・サヴォイアルディ 12本ぐらい
・濃いコーヒー(冷ましたもので、エスプレッソがベスト) 200㏄
・純ココア 適量
*サヴォイアルディはカルディなどで売っています。
① ボウルに卵黄とグラニュー糖を白っぽくなるまで泡立て、3回に分けてマスカルポーネを入れ、滑らかになるまでよく混ぜる。
② ◇を角が立つまでよく泡立て、①を少しずつ入れてチーズクリームを作る
③ □でしっかりとしたメレンゲを作り、②に入れて泡をつぶさないようにヘラで合わせる
④ 容器に、サヴォイアルディをコーヒーに軽く浸してから並べ、その上に③の半量を重ねる。
⑤ ④をもう1段重ねて、半日冷蔵庫で冷やす。ココアは食べる直前に振ると良い。
育てやすさ: ★★★★

ヴェネツィアでは6月近くになるとジャスミンの花が一斉に開花し、とてもよい香りに包まれるそう。その香りは、夕方から夜にかけて一層強くなるため「夜の女王」とも呼ばれています。現在も香水の香りとして人気ですが、昔は媚薬として使われていたとも言われていました。素敵な香りをまとっていた言われるカサノヴァも愛用していたのかもしれませんね。
花言葉は 愛らしさ・優美・官能的。
つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。
学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。
趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。
コラム「 おうち Moss Café 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。
厳しい寒さの中、凛と開花する紅白の梅が、新春の息吹をもたらしています。
濃緑の苔の丘に赤、ピンク、白花の苔玉仕立盆景の梅も園芸店頭を賑わしています。一足早い早春の訪れに、心躍り身の引き締まる思いです。
苔玉で花を楽しんだ後に、5~6月には梅の果実も着け楽しみたいと希望される方も多く、「どうしたらいいの?」と問われること、しばしばです。花が咲いたら果実が着く、自然の成り行きで、期待されるのは当然でしょう。
ウメという植物には、同じ品種の雄蕊(おしべ)と雌蕊(めしべ)の間では決して結ばない、「自家不和合性」という性質があります。同一親族間で結婚しては「ウメ」という種が弱体化して行く、ということを本能的にウメは知っており、それを避けているんです。ウメに結実させるには、必ず異なる品種のウメが1本ずつ必要です。
「いやそんなことはない、うちの庭先の梅は、1本でも毎年必ず実を着ける」と、言われることもしばしばです。「家主の知らぬ間に、隣近所の庭先にある梅と浮気してますよ」と説明、「そういえば確かに三軒先に梅の木があったなぁ!」と、一件落着。
それでもなお、1本でも結実する場合があります。白梅に紅梅を接木した、めでたい紅白の梅の木など、人為的に1本の木に2品種を同居させた場合です。おめでたい紅白で、結婚も成立させる、先人の知恵に敬服します。観梅で有名な水戸の偕楽園には、約100品種のウメが、計300余本、植えられています。その結果、6月頃に梅の実の収穫が行われています。
5~6月に梅の苔玉に果実を期待されるのならば、全く異なる品種の梅の苔玉を1本ずつ、計2本、並べてお楽しみください。苔玉の梅の木に、見事な果実が着く、素晴らしい景観となることでしょう。

日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。
つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。
もしも Active Note がカフェをオープンしたら…
そんな空想をちょっとだけ形にしてみました。
毎月おすすめの緑と、テーマに合わせたカフェレシピを紹介していきたいと思います。
こんにちは、店員くーこです。
早いもので、もうすぐ1年が終わろうとしています。先日、友人に誘われて、卓上門松を作ってきました。細い竹でものこぎりで切るのはなかなか大変でしたが、少しずつ新年を迎える準備をするのは楽しいですね。
さて、新年最初の国は、Moss Cafeらしく、世界中の花の6割が集まる国「オランダ」にしてみました。
オランダと言えばチューリップのイメージが強いですが、ヒヤシンス・ユリ・バラ・水仙などの輸出も盛んです。何より、オランダ人は花が大好きで、花が活けてないテーブルの家は完璧ではないそうです。
そんなオランダの年越しは、「花火」なんだとか。うちの近所の某世界一高い大仏様のところでも花火は上がりますが、オランダの年越し花火は市民が自由に花火を買い込み、新年になったら打ち上げるんだとか。一般市民が打ち上げる花火なんて…と思いましたが、写真などを見ると立派な打ち上げ花火???それもそのはず、通常は危険なため販売禁止な花火を12月29~31日の期間限定・年齢制限、購入量制限有で売られるかなり本格的なもののよう。それを1時間近く国中で打ち上げたら、圧巻でしょうね。
花火を見ながら食べるのは、「オリボルン」と呼ばれるドーナツ。
あちらこちらに屋台が出ていて、ビールと一緒につまむそうです。甘いお菓子にビールって、日本ではあまりやらない組み合わせですよね。
外はカリカリ、中はモチモチのオリボルンを作る秘密は、小麦粉と牛乳を1:1にすることらしく、あとは好みでレーズンなどのドライフルーツを混ぜるのもおいしいそうですよ。
揚げる時の注意点は、イーストが入っているのでかなり膨れます。小さじ1ぐらいずつ落としてあげるとちょうど良い大きさになり、上手に揚がりますよ。生地自体はそんなに甘くないので、粉糖やシナモンシュガーをたっぷりかけて食べてみてくださいね。

<レシピ>
◎ 材料(ピンポン玉大10個分)
◎ 作り方
◇準備:ドライフルーツを入れる時は、ぬるま湯につけてもどしておき、
水気をしっかり拭き取っておくこと
育てやすさ: ★★★

オランダで栽培されているのは「ダッチヒヤシンス」と呼ばれる花が密に咲き香りが強い品種。お正月のアレンジメントにも華やかで良いかも?ヒヤシンスの名前はギリシャ神話の美少年「ヒュアキントス」に由来していて、三角関係のもつれから、円盤投げの円盤に当たって死んでしまい、その血から咲いたのがヒヤシンスだったという、結構悲しいお話だったりする。(かなりざっくりな説明です)
花言葉も神話に関係したものが多い。
花言葉は 紫(悲哀)、黄(勝負)、ピンク(スポーツ、淑やかなかわいさ)、白(心静かな愛)、青(変わらぬ愛)。
つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。
学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。
趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。
コラム「 おうち Moss Café 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。
年末年始の園芸店には、クロマツやヤブコウジ、ナンテン、ポインセチア等の木本性の植物や、シクラメンやフクジュソウ等の草本性の植物が、クリスマス、正月気分を賑わしています。これらの年末年始の園芸植物を「苔玉」として楽しむ方も多くみられます。
「苔玉って、どの程度の期間、楽しめますか?」って、苔玉愛好家の皆様々から問われること、しばしばです。「管理次第で3年~5年間は楽しめます」と、お答えすることで終わる場合がほとんどです。しかし、「植物の種類によりけりで、大きく異なります」といった方が正解だといえます。植物は「宿根性」と「1~2年生性」植物に大別されます。
「1~2年生性植物」の苔玉は当然ながら1~2年間だけ楽しんで終了となること、致し方ありません。これらの植物の苔玉は、1~2年だけ楽しめば、十分でしょう。”管理次第で3年~5年~10年間は楽しめる”であろう、「宿根性植物」が課題となってまいります。
長期間、苔玉として楽しめる「宿根性植物」には草本性の植物と木本性の植物、端的に言えば「草」と「木」があります。草に該当するモノとして、コクリュウ、タマリュウノヒゲ、フッキソウ等の常緑性苔玉を見かけます。これらは、草丈は余り伸長はしないが草勢強く、苔面を覆いつくして「苔玉」ならぬ「草玉」に成長・変化していき、あまり問題になりません。
紅チガヤ、斑入りのススキ等の落葉性草「苔玉」は、冬期間は苔だけが緑の状況で、「枯淡」の美を楽しまれたらいいと思います。
セローム、オリズルラン、トラデスカンチャー等の観葉植物系の常緑・草・苔玉を楽しまれた方も多いと思います。これら観葉植物系の常緑草は極めて成長が早く、苔玉姿のままを維持することが難しくなります。苔玉根部をばらして、鉢植えとして切り替え楽しむのが得策でしょう。少々大きめの苔玉にしたいと思われる向きには、既存の苔玉根部表面に二重に苔を張り足し、上部と根部のバランスをとって鑑賞するのも一方法です。
シクラメンなどの花物・苔玉は、夏場の管理次第で翌年も開花を楽しめますが、年々老化が進み、徐々に花付きが悪くなってきます。若い今年苗の苔玉を楽しまれるべきでしょう。
クロマツやヤブコウジ、ナンテンなどの和モノ「木」の苔玉は長期間にわたって楽しめます。ケヤキ、モミジ類、雑木類の苔玉には、落葉期冬場の味わいを深めるために、コクリュウ、タマリュウノヒゲ等の常緑性下草を添植します。すっかり馴染んだ和モノ「木」と「苔」は、味わい深いものです。
長期間、苔玉として楽しめる「宿根性植物」の場合、苔部分が茶褐色に痛んだものを、多く見かけます。この場合は、古い苔を剥がして、緑深い新たな苔に張り替えています。緑の「苔」の丘に黒松、真っ赤な南天の葉、万両や藪柑子の赤や白い実の佇まい、年末・年始にわたって、苔玉をお楽しみ下さい。
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。
つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。