2月中旬から3月に掛けて、つくば市、仙台市、浦和市、新潟市などでサクラを使った苔玉教室を開催してきました。いずこの会場でも大変な盛り上がりでした。使ったサクラは、一重咲き山桜の系統「富士見桜」でした。日本に住む私たちにとって、桜花は他に代えがたい花なんですネェ。
咲き誇った染井吉野桜は花筏となって水面を流れて行く・・
一昨年の三月末、他界した大学時代の同期の友を桜花爛漫の京都で見送りました。散り去った友、いずれは残った自分等も、散ることになる、二条城界隈に咲き・散る桜に、切ない思いに駆られたことでした。
“ 散る桜 残る桜も 散る桜 ”
染井吉野桜など一重咲きの桜花の後を追い開花するのは八重咲種の桜です。稲作農家では、古来、八重咲種の桜の季節が「田植え」の時期の目安とされてきました。八重咲種にも多くの品種があります。大阪造幣局で有名な「桜の通り抜け」は、カンザン、フゲンゾウ、ショウゲツ、ヨウキヒなどの品種約130種、350余本の八重桜で多くの人々に愛されてきました。新宿御苑の桜も八重桜がその殆どを占めています。吉野桜など一重咲きの「山桜」の系統に対して、八重咲の桜を「里桜」と総称するのが一般的です。
八重咲種の桜花は、染井吉野等の一重咲き種に比べると、豪華絢爛な開花となります。欧米各国の公園等公共の施設に見られる桜は、八重咲種を多く見かけます。短命な一重咲き桜花を「花見」する私たち日本人と少々趣向が違うようです。
申し遅れました、「苔玉の桜」も八重桜の季節です。よく使われる品種に「旭山桜」「関山」「楊貴妃」などがあります。好みの豪華絢爛な八重桜を、苔玉に仕立ててみるのも一興だと思います。
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。
つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。
もしも Active Note がカフェをオープンしたら…
そんな空想をちょっとだけ形にしてみました。
毎月おすすめの緑と、テーマに合わせたカフェレシピを紹介していきたいと思います。
こんにちは、店員くーこです。
3月に入り、急に気温が高くなり、そろそろコートをクリーニングに出そうかと思う今日この頃。外に出ると、菜の花・パンジー・ラッパ水仙など、黄色の花が咲いていて、春を感じさせてくれます。黄色のフルーツといえば、バナナではないでしょうか?持ち運びにも便利で、子供のおやつにもなるのため、外に遊びに行くときは良く持っていきます。
バナナは一年中安定して手に入る果物ですが、ほぼ輸入品です。輸入バナナは害虫の侵入を防ぐため、青いうちに通関し、エチレンガスや温度調整などで追熟して市場に出回ります。
ほんの少しですが、日本でも沖縄や石垣島などで栽培されている「島バナナ」があります。旬は6月から9月です。私も沖縄へ旅行に行ったときに、道の駅で売っていたので購入したことがあります。大きさは普通のバナナの半分ぐらいで、モサモサはしていなくて、ちょっと酸味があり、良い薫りがしました。一言でいえば、めちゃくちゃおいしい!目からうろこが10枚ぐらい落ちました。沖縄でも常にあるものではないそうなので、見かけた時にはぜひ食べてみてください!
今月のスイーツは春らしい軽やかなお菓子が良いかな?と思い、バナナのシフォンケーキにしてみました。レシピを作るときには、作りやすいようにと考えて試作を作るのですが、久々に大失敗をしました。焼きあがった時に、大きなトンネルができてしまったのです。息子に「爆発シフォンだねぇ」としみじみ言われてしょんぼりです。原因は卵黄ベースの生地をミキサーで作ってしまったことでした。シフォンケーキでフルーツをミキサーでピューレ状にするのはご法度らしいです。なので、バナナは絶対にフォークでつぶしてくださいね。
☆卵黄 3個分
☆グラニュー糖 20g
☆サラダ油 30g
☆牛乳 30g
☆小麦粉 80g
☆ベーキングパウダー 2g
☆バナナ 1本(100g前後)
◇卵白 4個分
◇グラニュー糖 40g
○準備
1. 小麦粉とベーキングパウダーは合わせてふるっておく
2. 卵白は使う直前まで冷やしておく
3. バナナをフォークで細かくつぶしておく
4. オーブンを170℃に予熱しておく
○作り方
① ☆の卵黄とグラニュー糖をボウルに入れ、白っぽくなるまで混ぜる
② サラダ油を少しずつ加え混ぜたら、牛乳も加えてよく混ぜる
③ ②にふるった粉類を入れて、粉っぽさがなくなるまでよく混ぜたら、バナナを加えてかるくまぜる
④ ◇でしっかりとしたメレンゲを作る。目安は、逆さまにしても落ちないぐらい
⑤ メレンゲの1/3量を③に入れて泡立て器でよく混ぜる
⑥ ④のボウルに⑤を入れたら、ゴムヘラで下から上に持ち上げてサックリ手早くまぜる
⑦ 高い位置から型に入れたら170℃のオーブンで35~40分焼く
⑧ 焼きあがったら逆さましてに冷やす
育てやすさ: ★★
バナナを漢字で書くと「甘蕉」の通り、バショウ科の植物。花(実際は苞葉)はその中にたくさんのバナナの赤ちゃんを入れているだけあって、かなり大きい。諸外国ではこのバナナの花をサラダやスープなどにして食べているらしい。
花言葉は、「風格」
つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。
学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。
趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。
コラム「 おうち Moss Café 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。
桜は日本の国花として、私たち日本人に愛され馴染み深い植物です。3月~4月にかけて咲き誇る桜花の下で、「花見」する風流心は、私たちの心の年中行事に組み込まれています。桜花爛漫の下で酒を酌み交わし、花見弁当を楽しむ「花見桜」は、樹高3m以上から数10mの大木の下です。豊臣秀吉が生涯に京都の醍醐寺と奈良の吉野山で二度にわたり豪華絢爛な大花見を行ったことでも良く知られている桜は「ヤマザクラ」でした。
現在の桜の名所で主に植えられている桜は「染井吉野」という品種です。「染井吉野」という品種は、江戸時代末期に江戸染井地区(今の駒込付近)の某植木屋が上野公園等に植え付けたのが始まりと言われています。「染井吉野」は葉が出る前に花が樹幹いっぱいに咲く艶やかさから、特に明治以降各所に植えられるようになったのでした。日米交流の象徴として、米国の首都ワシントンのポトマック河畔の桜並木は、1世紀以上前に東京市から贈られたもので、その後の日米関係の激動も乗り越え、毎年、見事な花を咲かせていること、周知のごとくであります。
そんなことから、「サクラの苔玉」がずっと以前から人気を博して来たようです。ところで、苔玉仕立で楽しむ桜花は、15~30㎝程度の極めて低い樹高で楽しみます。同じ「桜」ではありますが、お花見する染井吉野桜と、苔玉に仕立てて楽しむ桜とは、品種が大きく異なります。苔玉などの園芸では、幼木の内に開花させる必要があります。なんの植物に依らず、幼木の頃から開花・結実する植物品種群を「一歳もの」といいます。一歳桜を選んで苔玉に仕立てる、ということです。具体的には「富士桜」「八房富士桜」等の系統が苔玉等、小品盆栽に用いられています。
明治以降、その艶やかさ故に国威発揚のスローガンの下、大量に植え付けられてきた「染井吉野」桜は、天狗巣病、根頭癌腫病等の病害に弱く、寿命50~60年程度とされています。そのために、50~60年程度で花見桜の名所が移動・変遷しております。心ある専門家の間で、「果たして染井吉野だけでいいのだろうか?」という疑問、そして問題点が提起されつつあります。桜の苔玉を見ながら、心の片隅に100年の歴史の中の桜を考えなければと思います。
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。
つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。
もしも Active Note がカフェをオープンしたら…
そんな空想をちょっとだけ形にしてみました。
毎月おすすめの緑と、テーマに合わせたカフェレシピを紹介していきたいと思います。
こんにちは、店員くーこです。
うちの朝食には、なるべくフルーツを出すようにしているのですが、ここ最近はイチゴを出すことが多いです。洗って出すだけの手軽さと、なにより甘くておいしい!
近年、品種改良がどんどん進んでいるようで、いろいろな名前を耳にするようになりました。代表的なのは、東の「とちおとめ」や西の「あまおう」でしょうか?その他には、栃木でしか栽培されていない「スカイベリー」や、我らの茨城「いばらキッス(ちょっと恥ずかしい)」、ピンク色でかすかに桃とココナツの香りがする「桃薫」など、50品種近くあるそうです。
それに伴い、イチゴ狩り園でも複数の品種の食べ比べができるところも増えてきましたね。昔は必ず手渡された練乳も、甘くて必要ないのか、出さない農園も。
そう、昔のイチゴ(30年前)は酸っぱくて、練乳が必需品でした。家族でイチゴ狩りに行くと、あんな小さな練乳じゃ足りないので、自宅から1本森永の練乳チューブと各自マグカップとフォークを持参し、マグにイチゴを山盛り摘んで、上から練乳をかけて、モリモリ食べる…イチゴ狩りマスターだ!と当時は自画自賛していましたが(実際に羨ましがられたことも何度かありました)、今やったら怒られますね。おおらかな良い時代でした。
昭和の思い出に浸ってしまったので、今回のレシピは昭和風味のデザートを作ってみました。ババロアって、昔はミックス粉などで作ってもらった人多いのでは?最近はなかなかお目にかかれませんよね。ババロアはカスタードを使うのが正式な作り方と言われているので、ちょっと手間ですが卵を使ったレシピにしてみました。
ピンク色でかわいいので、お雛祭りやホワイトデーのデザートにぴったりですよ。
☆いちご 150g
☆グラニュー糖 大さじ1
△卵黄 1個分
△グラニュー糖 30g
・牛乳 130g
・生クリーム 100g
◇卵白1個分
◇グラニュー糖30g
・粉ゼラチン 5g
・水 大さじ1
① 粉ゼラチンを大さじ1の水にふり入れて、ふやかしておく
② ミキサーに☆を入れて、ピューレ状にする
③ 鍋に牛乳を入れて、沸騰直前まで温める
④ ボウルに△をいれて、白っぽくなるまでよく混ぜ、③を少しずつ加えてよく混ぜたら、これをまた鍋に戻して中火にかけ、休まずにヘラなどでよく混ぜて火を通す。3分ぐらい、ゆるいとろみがつけばOK。火を止めたら①を入れてよく混ぜ、ボウルに移し、氷水につけて粗熱を取る
⑤ 生クリームを7分立てに泡立てておく
⑥ ◇でしっかりとしたメレンゲを作る
⑦ ⑤に④→②→⑥の順によく混ぜたら型に入れて2時間冷やす
育てやすさ: ★★★
甘くて真っ赤な果実に、小さくて白い花を咲かせます。このコントラストがとてもかわいい。非常に昔からある植物で、キリスト教以前からあったと言われ、北欧神話の愛と結婚の女神「フリガ」の果物と考えられていました。
花言葉は、「尊重と愛情」「幸福な家庭」
つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。
学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。
趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。
コラム「 おうち Moss Café 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。
「苔は日陰の植物で、太陽光は不要だ」という認識が、一般的にあるようです。だから、「苔玉は太陽光のあたらない日陰で育てるもの」と、誤まった認識をお持ちの方たちに出会うこと、しばしばです。
苔の生育にも、太陽光線は絶対に欠かせません。苔は体内にクロロフィル(葉緑素)を含有しているからこそ、緑色を呈しています。クロロフィル(Chlorophyll)は、光合成の明反応で光エネルギーを吸収する役割をもつ化学物質なんです。苔も一般の植物と同様に、光エネルギーを使って水と空気中の二酸化炭素から炭水化物(糖類:例えばショ糖やデンプン)を合成して、苔本体を作り維持しているのです。更に苔が生きていくためには、水分も絶対必要になることは、周知の事実です。
「水」に関しては、「空中湿度が程々の状態であること」が求められます。水中にドップリと浸けたままでは、苔は生きることが出来ません、腐ってしまいます。
苔玉を取り扱っていますと、「水」に関してはよく理解され過ぎていて、過剰な水遣り傾向にあります。「光」に関しては理解不足で、日陰で育てて苔を駄目にしてしまう傾向がみられます。
よく見かける2~3の失敗事例をご紹介します。室内に長期間置きっ放しにされた苔玉の苔部分が、黒く変色してしまったモノを見かけること、しばしばです。これは、太陽光不足の故に葉緑素がダメージを受け、更に、過剰水分の故に苔が腐ってしまった状態です。
エアコンの効いた室内の苔玉で、苔部分は辛うじて薄緑色を維持しているが、苔部分はカサカサに乾燥しているモノ。これはエアコン効果で空中湿度が低下、苔は枯れる寸前にあります。この場合は、適度な水分補給で元に戻すことが出来るでしょう。
「水は毎日補給しているのに、苔玉が元気でない」と、耳にすることがあります。よくよく聞いてみると苔部分に霧吹きだけやっているとのこと。これは、丸い苔玉の芯部分に水が行渡っていないということです。バケツなどのたっぷりの水に苔部分を浸して、苔の芯部分まで十分に水を供給しなければなりません。
水を十分に供給するためにと、苔玉の受け皿に常時水を張って、苔玉が乾燥しないようにする、これも駄目です。苔が腐ってしまいます。
苔玉が順調に生育するようにと、水遣りとともに「水肥」を施用する、これも絶対禁止です。苔は自然界では、殆ど肥料気のないところに生育しています。肥料をやると苔は全滅してしまいます。それでも、苔玉上部の植物に施肥したい。私は、ごく薄い液肥を苔面に触れないように、苔玉底部から注射器で少しずつ注入する方法をとっています。肥料とは違う各種の「植物活力剤」を極薄め施用することは、やぶさかではありません。苔の生育にもいい結果をもたらしてくれます。
ことほど左様に、「水」と「光」が程よく供給されて、初めて苔は生命を維持し、順調に生育し続けます。
日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。
つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。
コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。