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コラム【 苔玉に寄せて 】Vol.4

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多様な「苔玉」たち

「こけだま」というと「苔玉」の漢字が定着しているようです。でも、「苔球」あるいは「苔珠」といった漢字を当てる場合もあります。

20余年前の「こけだま」は、苔に包まれた植物の根部が”球形”のものがほとんどでした。その故「苔球」の漢字が誂えられたのでしょう。
根部が”球形”の「こけだま」は座りが悪く安定感がありません。そのため透明の釣糸(テグス)などで店頭に吊るすなどして販売されていました。

昨近の「こけだま」は、室内で風情ある皿に載せられたり、玄関先や床の間で観賞されるようになってきました。そして苔の根部を”お椀を伏せた形”に仕上げて安定させた状態が多く見られるようになり、徐々に「苔球」の漢字がそぐわなくなって「苔玉」の漢字へと変化し、定着してきたようです。

 また一部の「こけだま」愛好家たちでは、「苔珠」という漢字を当てて観賞されているようです。
「珠」の漢字を当てる、なんとも雅な感覚ではないでしょうか。「和」の感覚の園芸です。

 * * * * * * * *

「苔玉」を身辺に置いて楽しみ観賞する姿は、老若男女を問いません。

”和”の感覚の植物を「苔玉」で楽しまれる年配の愛好家、ミニチュアローズやカランコエなどのカジュアル・フラワー類を「苔玉」で楽しむ若い人たち、「苔玉」愛好家は多岐に渡ってきました。また、都心部の小物店・園芸専門店、郊外のショッピングモールにも「苔玉」が多く見受けられるようになりました。

床の間にモミジ、クロマツ、ケヤキなどの「苔玉」を置いて一服の茶を嗜むのも良し、パソコンなどに向き合うことの多いオフィスで、テーブルヤシ、ガジュマル、アジアンタムなどの小さな「苔玉」で心癒される瞬間を持つのも良し・・・、自由な形で「苔玉」が楽しまれることを願います。
緑成す苔の大地に佇む植物の姿は愛らしくも、生命の力強さを伝えてくれます。

小さな小さな「苔玉」が、園芸愛好の裾野をジワリジワリと拡げているようです。

 

執筆者紹介 –  S.Miyauchiさん

日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。
つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。

 コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。

コラム【 おうち Moss Café 】Vol.3

4月のおすすめ
アイビーのつりだま菜の花のケークサレ

もしも Active Note がカフェをオープンしたら…
そんな空想をちょっとだけ形にしてみました。
毎月おすすめの苔玉と、テーマに合わせたカフェレシピを紹介していきたいと思います。

                       

こんにちは、店員のくーこです。

先日、車から菜の花の黄色で埋め尽くされた河川敷を見かけ、春の訪れを感じました。
暖かな日差しに似た色のせいか、心がウキウキしてピクニックしたくなっちゃいます。
というわけで、今月は持ち運べる「菜の花のケークサレ」を作ります!

ケークサレは食事系ケーキで、フランスでは気軽に作れる軽食なんだとか。
今回はチーズベースの生地にベーコンとほろ苦菜の花を入れてみました。

ドリンクは、店長のRICOさんリクエストで「大人の辛口ジンジャーエール」です。

こちらは、ジンジャーシロップを炭酸水で割ったもので、辛さや甘さを自分好みにできるのが楽しい一品。
アウトドアにはアルコール!という方は、ジンジャーシロップ+ビールでシャンディガフってカクテルにするのもいいですね。

それでは皆様、素敵な春の休日をお過ごしください。

 

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菜の花のケークサレ

<レシピ>

◎ 材料(18cm丸型1台分)

  • ☆ マヨネーズ       大さじ3
  • ☆ 卵           2個
  • ☆牛乳          50g
  • ☆粉チーズ        大さじ1
  • ☆砂糖          大さじ1
  • *薄力粉         100g
  • *ベーキングパウダー     5g
  • *プロセスチーズ      60g
  • *茹でた菜の花       100g 
  • *ブロックベーコン      50g
  • *塩・胡椒・オリーブオイル   少々

◎ 作り方

(準備)
チーズ、ベーコンはサイコロぐらいの角切りにし、菜の花は粗く刻む。
薄力粉とベーキングパウダーは合わせてふるっておく。一口サイズにカットしたスポンジケーキに①を刷毛で塗る。

  1. 型にオーブンペーパーを敷き、オーブンを180℃に予熱しておく。
  2. ベーコンと菜の花をオリーブオイルで軽く炒めて塩胡椒をし、冷ましておく
  3. ボールに☆を入れてよく混ぜる
  4. 手順2に薄力粉を入れ、その上に手順1・チーズを入れてヘラでさっくりと混ぜる
  5. 型に入れて、オーブンで40分焼く
    ※覚めた方が切りやすい。食べる時にトースターで温めても◎

 

大人の辛口ジンジャーエールの素

<レシピ>(8杯分くらい)

◎ 材料

  • *皮をむいた生姜      200g
  • *砂糖(今回はきび砂糖)   200g
  • *水            400cc
  • *鷹の爪          1本
  • *シナモンスティック      1本
  • *クローブ          8粒
  • *黒胡椒          10粒

◎ 作り方

  1. 鍋にスライスした生姜と砂糖を入れて1晩置く
  2. 手順1に残りの材料を入れて沸騰させないようにしながら20分煮る
  3. 冷めたら漉して、冷蔵庫で保管する(1週間保存可能)
    ※素:炭酸水=1:3~4あたりがオススメ

 

アイビーのつり玉

育てやすさ: ★★★★

緑が美しい、常緑のつる性植物。
日陰や寒さに強く、観葉植物初心者さんにおすすめ。
吊るすことで、苔玉のころんとしたフォルムとアイビーのつるが引き立っています。

花言葉は、永遠の愛・友情

 

執筆者紹介:  くーこ さん

つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。
学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。
趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。

 コラム「 おうち Moss Café 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。

コラム【 苔玉に寄せて 】Vol.3

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四季折々「苔玉」の楽しみ

桜花爛漫、春真っ最中、お花見なさったことでしょう。
サクラの苔玉は、一足先に開花しました。苔玉に仕立てるサクラは、小さな樹形に花いっぱい着けたいですネェ。それには一般の花見で愛でる「染井吉野」種では、殆ど期待できません。苔玉仕立てに向くサクラは「豆桜」種が最適です。「豆桜」は、富士山~箱根界隈に自生するサクラで、小さな木でも樹冠いっぱいに小さめの花を開花させます。花いっぱい・豪華絢爛な桜花を苔玉仕立てでお楽しみ下さい。

花が終わったら、青葉新芽の萌芽を楽しむことができます。「目に青葉 山ほととぎす 初鰹」と、初夏の風情をサクラの青葉に託するのです。風に揺らぐ青葉の苔玉は、爽やかな涼感をもたらしてくれることでしょう。

6月中旬は「さくらんぼの実る頃」、青葉の中に赤いルビー色の果実は嬉しいものです。さくらんぼを実らせるには、開花時期に一工夫が要ります。苔玉に仕立てたサクラと異なる品種のサクラが、苔玉の近辺に開花していて、その異なる品種のサクラの花粉を受粉しなければ果実「さくらんぼ」は着きません。サクラには「自家不和合性」という性質があって、めしべ(雌蕊)は同じ木の花粉(雄蕊)を殆ど受けいれないんです。兄弟・親族とは結婚しないという、自然の法則をサクラは厳守するんですネェ。苔玉仕立てのサクラに赤いさくらんぼを着けるには、別品種のサクラの開花が必要だ、ということです。ウメについても、同じことが言えます。梅の花を愛で、6月に苔玉仕立て梅の木に果実を付けることができたら、素敵な実物盆景苔玉となります。

秋も深まってきますとサクラの葉は、紅葉します。黄色く、さらに赤く紅葉が、深い緑の苔玉の丘に、秋の訪れを演出します。紅葉は落ち葉となり、桜の枝幹を残すだけの冬の景観を呈します。緑の苔の丘に、寒々とした枝幹だけの桜、寂し気な「枯淡の美」。でも、枝先をよく観察すると、赤っぽい硬い新芽が内包され次の春を待っている・・・・・

春夏秋冬変わりゆく苔玉の表情は、生命の神秘を私たちに語りかけてくれます。

 

執筆者紹介 –  S.Miyauchiさん

日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。
つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。

 コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。
※4月は第2土曜日の掲載となりました。何卒ご了承ください。

コラム【 おうち Moss Café 】Vol.2

3月のおすすめ
セントポーリアとたまにゃんいちごのトライフル

もしも Active Note がカフェをオープンしたら…
そんな空想をちょっとだけ形にしてみました。
毎月おすすめの苔玉と、テーマに合わせたカフェレシピを紹介していきたいと思います。

                       

こんにちは、店員の くーこ です。

店長の りこ さんからセントポーリアの苔玉を託されたので、その花言葉から3月のテーマを「ホワイトデー」にしました。
バレンタインデーやってないのに…

さてホワイトデーと言えば、気になるのがお返し。

某生活情報サイトのアンケートによると、もらってうれしいお返しの第2位は『花束』だとか。
確かに、お花をもらうと嬉しいですよね!
花付きの苔玉ならどんなインテリアにもマッチするので、お勧めですよ。
もっとカジュアルな物が良いなら、苔の妖精「たまにゃん」が一押しです。

そして、3月のカフェメニューは男性でも簡単にできる「いちごのトライフル」です。

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パフェみたいに苺とクリームとスポンジケーキを交互に入れていくだけなので、お菓子作りをしたことない人もすぐにできますよ。
スポンジケーキは、市販の物やカステラ等好みの物を使ってくださいね。
撮影では生チョコケーキを使っています。

ドリンクは意外と思うかもしれませんが、台湾烏龍茶の高山茶です。
渋みがなく、爽やかな風味がこってりとしたチョコレートケーキと合うのです。凍頂烏龍茶も合いますよ。

今年のホワイトデーは、大切な女性に苔玉とデザートをプレゼントしてみてはいかがでしょうか?

 

いちごのトライフル・高山茶 

所用時間: 約15分

<レシピ>

◎ 材料(小さなグラス2個分)

  • ☆ 生クリーム(動物性)150 cc
  • ☆ グラニュー糖    10 g
  • ・スポンジケーキ    4切れ
  • *グラニュー糖     20 g
  • *水          40 g
  • *キルシュ酒      5 g 
  • ・ いちご       8 粒

◎ 作り方

  1. 小さめの耐熱容器に*を入れて600Wの電子レンジで50秒加熱する。
    (沸騰したら取り出す)
  2. 一口サイズにカットしたスポンジケーキに①を刷毛で塗る。
  3. いちごは飾りの2粒を残して角切りにする。
  4. ボールに☆を入れて生クリームを泡立てる。
  5. 層になるように、いちご・クリーム・スポンジの順で入れ、
    最後に飾りのいちごを乗せれば完成!

 

 セントポーリア

育てやすさ: ★★★

葉は肉厚で産毛の生えた丸い形が特徴的。
種類がとても多く、自分好みのものを探すのが楽しい花。

花言葉は、小さな愛・細やかな愛・親しみ深い。

 

苔(カモジゴケ)−たまにゃん

育てやすさ: ★★★★★

Active Note が笠間の植物工房「四季館」さんとコラボ制作した作品。
全て手作りのため世界で1つしかないのが特徴です。
猫好きの方も必見!果報を寝て待つのんびり猫♪

花言葉は、母性愛・信頼・物思い。

 

執筆者紹介:  くーこ さん

つくば市在住。現在子育て真っ最中のフリーライターさん。
学生時代より文芸部の部長を務め、大学では文学部に学び、現在も執筆活動を続けています。
趣味は長年続けているお菓子作り。みんなから頼りにされる緑と料理を愛する主婦です。

 コラム「 おうち Moss Café 」は毎月第4土曜日に掲載予定です。
※ 第2回目はホワイトデーに合わせて早めの掲載となりました。

コラム【 苔玉に寄せて 】Vol.2

西方寺-苔寺

苔玉の魅力

苔庭で著名な京都の西芳寺(苔寺)へ行かれた方は多いことでしょう。
私は今から54年前(大学1年生でした)、若き日の3月に雪降る苔寺を訪ねました。
雪の白と苔の緑の織り成すコントラスト、「静けさ」に癒され感動したこと、鮮明に覚えています。
その後、富士の原生林「樹海」、青森県の奥入瀬、奥只見の谷筋など、素晴らしい自然の苔に触れてきました。

いつの日か若い日のあの感動を多くの人々にお伝えしたい・・・・・
「苔玉」園芸を立ち上げた原点です。

今、若い人たちのワンルームやアパートのお洒落なルームインテリアオブジェとして着実に「苔玉」が定着してきました。
さらに、若い人たちの嗜好が洋風の観葉植物から わび・さび の「和の観葉植物」へと変化しつつあるようにも感じております。

苔で覆われた丸い土の上に、山野草や木の苗をシンプルに植えただけの、たった一個だけの小さな「苔玉」空間に、無限に拡がる思い・癒し、どんな宇宙を拡げているのでしょう。
苔玉に仕立てられた植物は多種多様です。ウメ、ケヤキ、モミジ、ミズナラ、クロマツ、アカマツ、シュンラン、コクリュウなどの和の植物、ミニチュアローズ、デンドロビューム、ガーデンシクラメンなどの洋風の花・・・・・

人それぞれに素晴らしい思いを描いて頂き、心癒して頂きたいと思っております。

 

執筆者紹介 –  S.Miyauchiさん

日本農業園芸造園研究所代表。農業・園芸・造園について30年以上の業務・指導に務める。つくば市在住。
つくばの松見公園をはじめ、数々の有名庭園の設計に携わる。現在は全国各地で苔玉教室などを開催し、誰もが楽しく園芸に触れることができる活動を展開している。

 コラム「苔玉に寄せて」は毎月第2土曜日に掲載予定です。